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内容説明
“戦犯”と呼ばれた男が全告白。
イランで現地採用され、社長に成り上がるや、米原子力事業を6400億円で買った男は、いつ、どこで、何を、どう、間違え、東芝を “奈落の底”に突き落としたのか。
大宅賞作家が第15代東芝社長、西田厚聰の肉声を交えながら描いた企業崩壊ドキュメント。
――東日本大震災、そして原発事故がなければ、東芝はどうなっていたんでしょうか。
「事故が起きなくても同じような問題が起きたんじゃないでしょうか。先延ばしされただけじゃないかな。すべては経営の問題だから」
2017年10月初旬、最後のインタビューは行われた。実は、西田は9時間を超える大手術、3ヶ月に及ぶ入院生活を経て、ようやく退院したところだった。存亡の危機に立たされていた古巣と同様、この男もまた死線をさまよっていた。
【ご注意】※この作品は一部カラーを含みます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
68
三者三様、言いたいこともあろうが、とどのつまりは権力欲、金銭欲、そして名誉欲が織りなす政争という感。既知の内容が大半を占める本著、表題でもある西田氏の経歴が、数少ない目新しさ。この視点でも痛いのは、如何にイランでの輝きが陰っていったかの過程。社長の椅子と経団連会長の椅子。2つ椅子が、氏の何かを狂わせたのかもしれない。最終章のインタビューも、歯切れが悪い。唯一の救いは、西田夫人の一途さかもしれない。2019/03/30
飯田健雄
41
読了です。彼の恩師、福田歓一氏とは、食事をしたこともあります。むなしい読後の感覚でした。フッサールを研究していた人がなぜ、世俗的世界へ、という感じ。西田は、「浮かんでいるものは、必ず沈む」という金言を自ら体現した経営者である。彼は、1980年代、三井物産のIJPCの失敗(イランでの巨額損失=約6000億円)を知っていたのかな?2018/06/29
kawa
32
「地位は人を作る」が、同時に「地位は人を堕落させる」可能性も大だ。ここに紹介される、東芝の歴代社長の情けなさは、ため息もの。彼らは、その時、その時これが正しい、ベストと思って行動していたのだろうし、今もその結果を了としているのかも知れない。光り輝いていた時期もあった、しかし、大役としてのリーダーシップは発揮できなかった。そこに悲しい人間ドラマを見る思いだ。いつ何時か、そんな陥穽に自分が落ち込む可能性があることを自戒しながら読了。2018/05/30
Miyoshi Hirotaka
31
20世紀後半から組織が人より先に寿命を迎えるようになった。山一、拓銀、長銀、JAL、エルピーダなど枚挙に暇がない。破綻のトリガーを引いたリーダーの判断ミスにフォーカスすることはドラマ仕立てとしては面白い。しかし、どの組織にも創業や守成の熱情があり、衰退と成長の原因は表裏一体。マクロとしては衰退事業から優秀な人材が大量放出される好機と考えるべき。同じことは先の大戦後、航空機と自動車産業との間で起きた。わが国の特異現象として創業百年以上の老舗が十万社以上。その中では東芝はまだ若い。再生の機会はいくらでもある。2022/05/15
Porco
21
めちゃくちゃ面白い。もっと早く読んでいればよかった。東芝の経営危機の要因や経緯について整理できたし、西田元社長という映画にでもできそうな人物について知ることができました。東大大学院で政治学を学んで、そこで出会ったイラン人と結婚して東芝のイラン法人に入社し、いくつも手柄をあげて社長になって、会社の業績を伸ばして、そこから急激に転落する。2021/01/09