内容説明
ある日、凄腕の公認会計士が逮捕された。容疑は粉飾決算。シロアリ駆除の上場企業、キャッツ経営陣による株価操縦事件に絡み、東京地検特捜部に摘発されたのだった。カネボウ、ライブドア事件でも公認会計士が逮捕されたが、すべて容疑を認めている。だが、キャッツ事件の被告は容疑を否認して、190日間拘留される。「粉飾決算ではない」。専門の会計理論を駆使して取り調べの検事と対峙するが、検察の描いたシナリオのまま起訴される。まさに、佐藤優『国家の罠』の公認会計士版である。裁判では、会計学者から粉飾ではないとの鑑定意見が出され、他の容疑者による被告に有利な証言が相次ぐが、一、二審とも敗訴。東京高裁の控訴審判決直後、白血病の妻が急死するという悲運に見舞われるなか、上告して闘っている。その闘いの詳細を極めた被告自身の手記である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
26
《購入本》キャッツ事件の被告人自身の手によるノンフィクション作品。会計処理・原則などにいかに司法が弱い(不得手)かが如実にわかる。現代社会において経済犯罪は多様化をたどり、その本質を理解し正当に裁くには単に法律知識のみでは全く不十分である。もはや検察官も裁判官も弁護士も司法試験に合格するだけの知識では対応しきれない。読み手にとっては、この事件が本来、有罪か無罪かは一連の裁判経過からは判断がつかない。被告人側の失敗は、やはり一審での戦術の誤りに尽きる。一審判決は極めて重く控訴審での逆転は著しく困難である。2016/06/28
Åκ
3
随分と昔に読んだ本を再登録しました。ビジネス物の、ノンフィクションは、文庫Xとは違う緊迫感が伝わります。そして、警察や検察は必ずしも正義ではないのかと、深く考えさせられる、きっかけになった本です。是非、多くの方に読んでいただきたい一冊です。ミステリー小説の様相で、圧倒的なリアリティーの元、深く飲み込まれる作品でした。多くの方にお薦めです!2017/07/24
Strega Rossa
2
検察に起訴されれば裁判での有罪率は99.9%だという。関係者が罪を認めて保釈や執行猶予となっていくなか、一貫して無罪を主張したために逮捕され、最終的に有罪が確定した公認会計士によるノンフィクション。10年前にベストセラーとなった本だが、今読んでも面白い。著者の会計データの分析力には脱帽せざるを得ない。2018/01/15
meisyuu
2
検察官も裁判官もグルになって、ありもしない犯罪を捏造していく。この国のどうしようもない腐った権力。それにしても著者の強靭さに、感銘。自己の信念を貫き通すことは、大変な犠牲を払うことになるけど、人を陥れない、裏切らない生き方が、人間としての誠実さなんだろうと思う。この裁判の当事者である検察官、裁判官たちは、組織内での自己保身のためには、人間としての良心など、捨て去ることができる人種なんだろうね。2008/07/18
たかひろ
1
国家権力は恐ろしい。カフカの『審判』の世界は実在する。2025/03/04
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