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内容説明
殺人など事件が起きると、警察、被害者の遺族、容疑者の知人らへの取材に奔走する新聞記者。その記者がほとんど初めて、容疑者本人を目にするのが法廷だ。傍聴席で本人の表情に目をこらし、肉声に耳を澄ましていると、事件は当初報じられたものとは違う様相を帯びてくる――。自分なら一線を越えずにいられたか? 何が善で何が悪なのか? 記者が紙面の短い記事では伝えきれない思いを託して綴る、朝日新聞デジタル版連載「きょうも傍聴席にいます。」。「泣けた」「他人事ではない」と毎回大きな反響を呼ぶ28編を書籍化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
54
覚醒剤、飲酒運転事故、幼児虐待死、銀行員横領等傍聴した28件の事件を、1件9ページ程度に簡潔に朝日新聞社会部がまとめたもの。特に私的感情をはさまず淡々とした記述です。長編の合間とか、寝る前とかに少しずつ読むのに最適な1冊でした。 2022/03/15
きょちょ
23
新聞記者が裁判を傍聴し、いろいろな事件の内容や判決を紹介したノンフィクション。 嫌な事件ばかりだが、世の中いろいろなことがあるもんだ。 DVやネグレクトで死んでしまった子供たちの話が最も悲惨である。 地球上でこのような事件を起こすのは人間以外にいない。人間の脳の発達の、負の部分である。 ただ、記者が言うように、このような事件を少しでもなくしていく努力が、我々には大切だ。 ★★★ 2021/07/07
魔王
21
結構有名で記憶にある事件も含まれていました。ニュースだけではわからない被告の経歴や心境等がわかり読んでいて引き寄せられるものがあります。本にもありましたが殺したらダメというのがよくわかりました。判決にはその人がしてきたすべてのことが網羅されたり、同意の上でも自殺をすれば罪になるといったことがあるのがわかりました。とても面白いと思いました。2018/02/07
*
20
ある検察幹部「被害者に『何の落ち度もなかった』と言えるのか。被害者の叱責は、被告を『父親を殺したい』と思わせるほど苦しめていたのではないか。私達がするべきことは、有罪を取り量刑を重くすることではない。ありのままを明らかにした上で、それでも、人を殺してはいけない、許されないことなのだと訴えることなんじゃないのか」▼この国では、「罪を憎んで人を憎まず」という大切な原則がまだ生きている。いざ自分が当事者になったら、それを守れるかはわからないけれど。2018/05/22
あっちゃん
16
よく覚えている事件もあれば、そういえばそんな事件もあったなと思う事件、知らなかった事件。そして、全く同情できない事件。同情してしまう事件も様々。最初の「絶対君主」は私もよく覚えていて、事件の背景を知れば知るほど少女に同情した。確かに殺人はよくない。けれど、少女のような環境で育った子はどうすれば良かったのだろうか?逃げれば捕まり。学校に相談すればさらに酷い仕打ちを受ける。これからの人生は罪を償いながら。でも、幸せになってほしいと願うばかりです。2021/10/20