内容説明
ゲームソフトの開発に携わる矢木沢は、ある日を境に百鬼夜行の幻覚に苦しむようになる。どこからともなく魑魅魍魎の群れが現れ矢木沢の周囲すべてを埋め尽くしてしまうのだ。しかも、その幻覚は回を重ねるごとに進化し、威力を増し、巨大な恐怖の濁流となって矢木沢を翻弄していく。知り合いの姪、真壁岬の助けを借りて原因を究明しようとするが、幻覚は矢木沢の思考、存在を超えなぜか古事記に酷似したものとなっていく。どうしても思い出せない母親の顔……。震動を伴い聞こえてくる言葉「吾に辱見せつ(われにはぢみせつ)」……。鬼才・竹本健治が描く、日本人のDNAに直接迫る言霊から生まれる恐怖と、その受信回路のメカニズムとは!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
13
キャラクターの設定や台詞回しなんかのわざとらしさは気になったものの、日本人の民族的ルーツと言語に関するウンチクはなかなかに面白いものがあって、物語としての出来は置いておいて民族学・民俗学が好きな人は一読の価値がある小説じゃなかろうか。しかしとにかくキャラクターの思考回路が常人離れしていて、誰一人としてお友達にはなれそうにない。大丈夫かこいつら。2017/12/27
浮遊
10
日本とは、日本人とは、日本語とは。日本語が日本人たらしめている?日本語によって共有される不可知な感覚。決して表には出ないが、確かに我々の中に存在するもの。忌み言葉と恐怖。恥の文化。言霊。文字が蠢き、紙面が撓む。ああ、わたしにも見えている。見てはいけないものが、現実には存在し得ないものが、妄想が具現化し、目の前に立ち現れている。見てはいけない。知ってはいけない。夢でも見ているのだろうか。全身の毛が逆立ち、由良由良由良由良布流布流布流布…やがて全てに飲み込まれた。2017/12/27
なべさん
8
奇妙な幻覚に襲われ、その原因を突き止めようとするが出来ず、再び幻覚に悩まされ、生活に支障がきたしはじめた矢木沢。不思議な少女、岬とその謎に迫る。神話や言語学を織り交ぜ奇妙な小説。2018/03/31
がんつん
5
そこにあったから読んだのです。表紙が好みでないこともあり、これといって期待もなく。紙で読むのがおすすめかなーと思いますです。読み進めてくと、文字が蠢き、ぞわぞわと身体中をはい回り、大きな渦に飲み込まれて、そんで放り出される感じ。最初はなんぞこれ?と思いながらの読書でしたが、まさしくクレッシェンドでございました。2017/12/16
花嵐
3
★★★☆☆ 今作は怪奇小説とか伝奇小説という括りの小説になると思う。古事記やら言霊やら日本語の特異性といった事柄に対する薀蓄がたっぷり出てくるのでそういうのが苦手な方には向かないかも。ヒロインとして出てきた真壁岬というキャラの過去の話を読むに「ははーん、これは作者の別作品にも出ているな!」と直感して調べてみたら「緑衣の牙」という小説に出ているみたい。他にも天野先生も出てくるので竹本健治作品が好きな方にはお得感があるやもしれない。2019/11/11
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