内容説明
読み終わったとき、もっとも危険な世界史が見えてくる。
イスラームの側からしか見えない歴史を
解き明かし未来を予見する。
19世紀は西欧列強による世界の植民地化の時代、20世紀は2度にわたる世界大戦による西欧の破産とその破産管財人である米ソによる残務処理の時代であった。21世紀は、西欧の覇権の下にあった中国文明、ロシア文明、インド文明、イスラーム文明の再興による文明の再編の時代となる。シルクロード経済圏の覇者を目指す中国の一路一帯構想、ロシアのウクライナ内戦、クリミア危機への介入は、「大陸国家」中国とロシアが文明の再編の主役であることを示しているが、実のところ影の主役はイスラーム世界(ダール・イスラーム)である。イスラームは、西欧の世界支配の枠組「領域国民国家システム」自体を揺るがす可能性を秘めているのである。(「あとがき」より)
最新の中東情勢分析に加え、長年のイスラーム研究と著者の思想を凝縮した他の誰にも書けない生きた世界史! !
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禿童子
19
イスラームの勃興と帝国化、衰退の歴史が延々と述べられるので、読むのに忍耐がいりました。良く知られているスンナ派とシーア派だけではなく、スンナ派の中にも聖人信仰を偶像崇拝として排撃するワッハーブ派から穏健派、さらには近代主義との折衷派があることが分かりました。ウェルベック『服従』の出版、シャルリー襲撃、「イスラーム国」など進行中のトピックにも触れています。全体としてトインビーの歴史観から強い影響を受けているのが読み取れます。イスラム文明の再興が実現可能かは疑問ですが、単に「他者」として排除するのは危険です。2018/07/27
Amano Ryota
5
人類の未来を賭けた戦い、というと大袈裟なのかもしれない。だけど、リヴァイアサンの偶像崇拝、もっと知りたいと思う。「…トインビーは、ホッブズが旧約聖書に登場する『リヴァイアサン』と名付けた『領域国民国家』に対する偶像崇拝は、キリスト教だけではなく、すべての高等宗教に反するものであるばかりでなく、世界教会の理念にも反する、と述べる。つまり、領域国民国家は、一なる創造主のみに仕える一神教に反する偶像崇拝であるばかりでなく、普遍的人類の概念を否定するものであるがゆえに人道、ヒューマニティの敵でもあるのである。…」2017/08/08
しんぷぅ
1
個人的にはイスラム法下で暮らすのは色々と厳しいものがあるように思われるので若干恐ろしく感じる部分もあるが、領域国民国家という体制や、人による人の支配が崩壊した世界を見てみたいという気はする。我が国の義務教育で世界史とは名ばかりの西洋史から欠落したイスラムから見た歴史を概観、宗教的理念についても解説してあり非常に面白かった。この分野には殆ど無知な自分でも詰まることなく読み進められた点も良い。いい加減聖典等読んでみなければなぁという気持ちと、世界には学ぶことがまだ無限にあるようだとの思いを新たにした。2018/05/07
aeg55
1
やっと一読完了 "終章 文明の再編" に入ると様々な疑問が解けてくるのが読みながら体感する それにもまして、"あとがき"がさらに圧巻であるという、予想外の書でした 現代社会が持つ矛盾/歪みがなぜ解消できないのか? それは民主主義/資本主義が本質的に備えているモノだからである、という事実は内側から認めることは難しく、イスラムを介して考えてみると、はっきりとその虚構の姿を捉えることができる 2017/11/02
shinosuke
1
二章までは歴史の羅列が大部分をしめるので終章から読めばよろしい。2017/09/21
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