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内容説明
日本文学の不朽の名作『人間失格』をトップホラー漫画家の伊藤潤二氏が
独自の表現で捌きます。
隣人の幸福が理解できない。なのに、隣人の目が
気になって仕方ない。そんな主人公・大葉葉蔵が必死で身につけたのが
道化だった。上京した葉蔵は堀木に誘われ、非合法活動に参加する。
活動に疲れた葉蔵はある女給と出会うが……
「世間と折り合いがうまくつかない」そんな読者に長く愛されてきた
名作を、伊藤潤二氏がホラーの要素を絶妙に取り入れ、構成した
衝撃作です。是非手にとってください。宜しくお願いいたします。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
70
太宰治✕伊藤潤二、しかも「人間失格」ときてはいやが上にも期待値は上がっていました。伊藤潤二さんの絵と脚色により、主人公葉蔵の我が身と他人に対する怯え、女性にモテるというある種の妖しさが一層強調されていた様に思いました。しかしそれが原作の雰囲気を壊す事も無く、心に迫ってくる。原作初読時、それだけでも衝撃を受けた「はしがき」に触れていなかったのが少し気がかりでしたが、後々触れて来るのかな。次巻も楽しみです。2018/10/19
Vakira
52
太宰治さんの「人間失格」を今頃読んで壺りました。漫画家の古屋兎丸さんが描いた「人間失格」を読んだら葉蔵の心理描写と女性の絵が素晴らしく、思わず感動。更にホラー漫画家、伊藤潤二さんが「人間失格」を描いていた事を知り、探す。伊藤潤二さんが描くと「人間失格」はどの様に料理されるのか?・・・潤二さんの描く女性は綺麗で妖しく、葉蔵はイケメンでピュア。ストーリーもほぼ原作通り、潤二さん解釈&演出もいいです。また違った視点で楽しみました。女性の嫉妬は怨念的、あら竹一少年、キモい~鎌倉心中もワザワザ?2021/06/13
澤水月
34
冒頭で焦点合い戦慄。太宰治の心中相手は山崎「富栄」…トミエ!!その名を持ち人を死へ誘う美女を描き続けてきた著者がこの題材選んだことが腑に落ちた。不快で恐怖なのに可笑しく…また如何なる偶然か「自殺志願の人々」巡る大事件が現実に勃発時の刊行! 性を正面から具体的に描いたのも特筆すべきで官能的かつ厭らしく普通美しく描きそうな場面も幼児が初めて見、触れた時のような慄きで描かれ雌伏経た大飛躍の予感しかない。同原作は古屋兎丸も手がけていたがそれぞれ強い作家性が興味深い。114p陰惨凄絶な美男大ゴマも新境地、今後楽しみ2017/11/02
ぐうぐう
32
『人間失格』のコミカライズと言って、まず思い出すのが古屋兎丸版だ。古屋は大胆にも現代を舞台に移し替え、名作の主題が普遍的であることを証明すると同時に、現代にすることで古屋の個性を存分に発揮することを可能とした。では伊藤潤二は、いかに『人間失格』を漫画にするのか。伊藤は、まず太宰治の心中場面から物語を始める。二人して玉川上水に身を投げる瞬間、死が怖くなり、一人だけ助かろうとする太宰の弱さを描く。けれど、あえなく川に流されてしまう太宰の、今際の際に見た物語が『人間失格』という構造だ。(つづく)2017/12/14
たまきら
30
太宰治が苦手だ。その苦手な要素が余すところなくこのマンガで表現されていて、ぞっとした。本歌取りだけれど、オリジナルに輪をかけて露悪的で刺さる。被害者であり消極的だけれど立派な加害者だったろくでなしのブルーズだ。2023/10/24