内容説明
市原玲人が、友人の光恵から見せられた写真には「狼男」が写っていた。忽然と姿を消した光恵を、玲人は息子の一真と探し出そうとする。時は30年近く遡る。山奥で暮らす、ある「力」を持った“マガチ”の青年シズクは、初恋の少女を追いかけて上京する。ふたつの時が交錯し、物語はあまりにも切ないエンディングへと疾走する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ココ(coco)
35
☆☆☆★長編でしたが飽きる事無く最後まで引き込まれました。最初は純粋な青年だったシズクが都会の人と街に影響され変わって行く姿と、初恋が忘れられず、最後まで想いを貫き通した所が切なくて悲しい。朱川さんの作品は、昭和のノスタルジーに溢れていていつも楽しませて頂いています。 2017/11/22
小夜風
33
【所蔵】最後まで読んで「おおかみこどもの雨と雪」を大人向けにした印象を受けました。この時代を生きていた人なら誰もが知っているような実際の事件を絡めてしまったことは、賛否両論あるかなと思います。特に「僕だけはいつまでも、君の味方です」なんていう台詞は、軽々しく使うべきではなかったかなと、複雑な気持ちになりました。そういうこと抜きにして、全部ファンタジーとして楽しめたら良かったのに、そこが少し残念でした。最後も唐突に終わってしまった印象で、玲人と一真がその後どうなるのか、ふたりの絆ももう少し知りたかったです。2017/12/04
ちょん
23
「どうせ今生は失敗したのですから、そんな風に生きてもいいじゃありませんか。」読み終わってしまったー!最後がドタバタドタバタした感じはありますが、綺麗なお話でした。うん、綺麗って言葉が合うなぁ(>_<)物語の軸になるシズクという男性、ずっと綺麗なものに憧れて夢見てたんだなぁと思うと切ない。読みごたえのある物語でした!2018/04/30
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11
お互いの心を取り出して見せ合うことが出来ない以上、幻想に振り回されながら生きていくしかないのかも知れない。彼の一途な想いが物語を駆け抜ける。あらゆるジャンルを取り入れ、その全てがぼんやりした中で、冥の水底から見上げた光がより際立つ。2019/02/10
tnyak
9
一瞬はサスペンス調になりますが、全体的に物語は比較的静かに展開していった、という印象です。もう少しスリリングな展開を期待したけれど、一途な想いがかなわぬ純愛物語、切なかったです。「ザベストテン」「山口百恵の引退」、昭和歌謡などを思い起こさせる記述の数々は私にはとても懐かしいものでした。2017/11/21




