内容説明
人はなぜ人を殺すのか――。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
518
えええぇぇぇ、実話ベースやったんかぁ。最初に言うてぇなぁ。しかも、河内音頭⁉️その昔、踊りまくってたヤツやん。再読するか…しかし850ページ…。イヤコラセ〜〜ドッコイセ♬ あとがきはなんと石牟礼道子先生。2020/05/07
ehirano1
260
唯々感無量で最高でした。大犯罪者である熊太郎がなぜか憎めない、むしろその純粋でアホでこれ以上ないくらい不器用な彼を応援さえしたくなる。だからこそ、彼の周囲こそが彼を大犯罪者にしてしまったのではないかと思ってしまいました。そして、最期の最期まで熊太郎であったことに合掌しかない。2025/09/07
青乃108号
257
リンカーンライム物ばかり読んでいて正直飽きてきた。そろそろ違った本を読みたくなって思いだした。 15年前無職だった俺は日がな1日本を読んで過ごしていたのだがその時嵌まったのが町田康。当時から気にはなっていたが威圧的なまでの分厚さに気後れして手に取れずにいたのが本作だった。 熊太郎は自分の思弁の全てを解放しようと懸命に努力するが思いは叶わず、涙ながらに「あかんかった」と言い自害していく。 熊太郎は俺だ。これ程までに心を揺さぶる物語を俺は知らない。2021/07/16
nobby
212
その生き様を冒頭で「あかんではないか」と評された熊太郎が、最後たどり着く答えもまた同じなのは秀逸。河内十人斬りという実話を基に、一人の怠惰な男の人生をなぞらえ、思弁的という歪な心情が延々と綴られる。自己を守り虚栄を張るべく思いのまま行動する様や思惑のズレ模様の羅列に、一瞬何を延々と読まされているのか分からなくなるが、そのバカ正直でピュアな思考は憎めない。また、社会との帰属があるからこその現在の自分を確認しながら過去を顧みるばかり。蔓延る悪を討ちつつなされた告白、必死のパッチの言葉が導き出すのは空虚のみ…2017/10/26
🅼🆈½ ユニス™
206
面白くて笑い転げてたのに! … 熊太郎のバカ!バカを思うと苦しくてなる。心が痛い!心が痛い!活字が音楽となってリズミカルに私の耳を打って来る。フワフワと読者を空中浮遊させる。死ぬ時は一緒とアニキの熊太郎に誓った弟分弥五郎の決行前日の行動には涙が止まらなかった。…この感想は表現しきれない… 渾身の力を振り絞って書き上げたであろう作家 「町田 康」 さんは書き終えて長い間寝込んだと思えるくらい力強い “大名作” だった!これこそが文学、いや、とにかく素晴らしい❗️ [★★★★★]2018/06/03




