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内容説明
「残業しなくても儲かる」理由
SCSK「働き方改革」の舞台裏
長時間労働が常態化しているIT業界において、大手システム開発会社のSCSKは「働き方改革」の先進企業として知られる。2011年6月に中堅の住商情報システム(SCS)とCSKの中堅2社が経営統合して誕生した同社は月平均残業時間が20時間以下を達成。しかも発足以来5期連続増収増益を記録。直近の2016年度(2017年3月期)には、本業の儲けを示す営業利益率が優良企業の目安とされる10%を超えるなど、M&A(合併・買収)の失敗例が多いIT業界では数少ない例外となっている。
SCSKの高い利益率を支えているのは、赤字案件を減らすための各種施策であり、そのための構造改革・意識改革である。赤字案件を撲滅するためには、仕事の「質」、すなわち「業務クオリティ」を高めるしかないとの信念に基づき、仕事のやり方や社員の意識を徹底的に変革した。業務クオリティを向上させるために、標準化や見える化をはじめとする様々な仕組みを整備すると共に、経営からライン職、現場に至る全社員の意識改革に取り組んだ。しかも、その取り組みを6年間、粘り強く愚直に継続した。
SCSKの「働き方改革」の舞台裏にあった、知られざる業務クオリティ向上への取り組みを追った。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kentaro
40
完成形をイメージしやすい建築や土木の世界とは異なり、情報システムは完成時に備えているべき機能や処理速度などを想像しづらい。このため作りたいシステムのイメージが曖昧な顧客が多い。ひどいときはシステム開発会社に要件定義の作業を丸投げして、要求だけを次々と突き付けてくる。顧客に対して、受け身体質の現場の技術者は、言われた要求を取り込もうと無理する。結果、当初の見積り以上に要件が膨らんだり、要件定義に漏れや矛盾が生じ、後工程でのトラブルを招く。技術者は深夜残業や休日出勤せざるを得ず、長時間労働が常態化する。2020/03/27
もりの
8
作業の見える化、リスクの見える化が大切。商品が目に見えないだけに細やかな気配りが重要。システム会社は大変だなぁと思った。2020/05/07
ニョンブーチョッパー
6
★★★☆☆ 冒頭の旧態依然とした現場の状況については、そうそうと思いながら読めたけれど、客先常駐(派遣)という働き方の場合、どうやったら働き方の改革ができるのかはよく分からなかった。2019/08/20
牧神の午後
4
働き方改革も掛け声だけでなく、仕事のやり方を見直さないといけないということ。会社の合併という一大契機があったにせよ、システム品質を向上させれば障害対応時間もなくなり利益が上がる、さらにそれを梃子にして今取り組んでいる以上の仕事に取り組める、という会社の論理があるのはおいといて、結果として働き方改革もなせる、いわば結果として働き方改革を実現する、その推進者の方々およびそれを支援したであろう経営層・なかんずくトップマネジメントには頭が下がる。上から残業時間削減!だけ言ってても意味がないってね(意味深)2018/12/02
いしばし
3
受け身でいるのではなく主体的に業務改善に取り組んだ結果、システム屋の既成概念であるブラックさを取り払った企業の本。業界用語や社内用語が多くてスッと入らなかったけど、会社を合併したり事業方針を変えたり等の舵取りができる人って凄いな。2021/11/03