内容説明
破天荒に生きた父に捧ぐ!
「金スマ」2時間スペシャルで大反響を呼んだ父と娘の感涙の物語
野沢直子さんの父親ほど破天荒で魅力溢れる人物がほかにいるでしょうか。
まったく奇抜なアイディアで事業を成功させたり、完全に失敗したりを繰り返し、愛人をあちらこちらに持つ父。
しかし家族のことは大切にしていました。その父が死に、通帳には千円の残高しかなかったのでした。
父には一生背負わなければならなかったある経験がありました。それらの秘密や、家族の大切な記憶が徐々にひもとかれていきます。
野沢さんの祖父は、直木賞候補と目された作家、陸直次郎。一家を支える三味線の師匠である祖母と、夫を信じ、愛人との駆け落ちも受け入れる母。叔父に声優の野沢那智氏。
事業を手掛けては失敗する父と、成功を信じて疑わない母。その間で、野沢さんは懸命に「お笑いの道」を目指します。
ところが母親の死後、韓国人の隠し子が現れ、最後の章では、誰もが仰天するあらたな出会いが待っています。
「文藝芸人」(文春ムック)掲載時に、読者から「リリー・フランキー『東京タワー』に匹敵する親子愛の名作」と絶賛された作品に、格闘家デビューした長女、野沢・真珠オークライヤーと激しく争った子育ての日々などを、大幅に加筆しました。
懸命に生きる野沢家の人々の姿は、可笑しくてせつなくていとおしい。全編笑いに包まれながら、涙をなくして読むことができない本書は、小説を越えた小説と言えるでしょう。
野沢直子さんはやはり並の人間ではなかった!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
217
にぎやかなタレントさんが出て来たな~と彼女をTVで観た時にまずは思った。体張って、いつのまにかアメリカに行って家庭を持たれて、夏には帰って来て(出稼ぎと言う)の方。ビックリです。野沢直子さん、しっかりした文章力で最後まで読ませてくれます。確かに父親は破天荒な方。けれど、ちゃんと愛があって・・なによりお母様が素晴らしい。父から娘へそして孫へ・・受け継がれていく野沢家の血。ラストはもう笑うしかないです。こんな生き方もあるのだなぁ。異母弟妹、皆、仲良き事は美しい。2019/01/30
美登利
113
もう、凄い!のひとこと。野沢直子さんは1つ年上で当時はなんだかよく分からない芸風の女芸人さんで、それほど好きではなかった。突拍子もない芸風そのまま、活動休止、渡米、結婚。日本のテレビから遠ざかったと思ったら、出稼ぎ芸人として復活していたり。その彼女が育った家庭と家族、自分の産んだ子供たちの話。びっくりですよ。お祖父様は作家さんだったのですね。芸人さんは幼少期苦労した人が多いけれど、まあ本当に破天荒なお父様。嫌な親父じゃないんですね。テレビの特番で知ってる方はいるかもしれませんが、読んで驚いてみてください。2018/02/25
ユザキ部長
81
笑って泣いて、また泣いて。感情の終着点がどこにあるのか解らない。あれだけ早く死ねばいいと憎くて仕方なかったのに今はただ「お父さんに会いたい I miss him」そして教えられた事、『テニショク』を大切に子供達に伝えていく。2018/12/31
nyaoko
81
破天荒だった父について語られる野沢直子さんの文章はとても読みやすくて、素直で面白くてびっくりです。お笑い芸人さんって、やっぱり文才があるんだなぁ。とにかくハチャメチャなお父さんなのに、その姿をまるごと受け入れて愛するお母さんとおばあちゃんにも驚き。テレビで無茶苦茶に騒いで暴言吐いてたあの野沢直子が、この家族の中だと「普通の人」にしか見えません(笑)ダメな人だった父親が大嫌いで大嫌いで、でもたった一人の父親だから大好きだったと、泣いて笑って家族みんなで見送る姿が印象的でした。2018/05/17
ann
68
笑って見送られる人生。素敵。野沢直子さんの言葉、すごいです。2018/04/10