内容説明
「孤児院ツーリズム」の実態とは? 手掛けるのは旅行会社やNPO法人。子どもたちは、観光客のために可哀想な子を演じ、訪れた人々は同情を寄せて寄付やボランティアを願い出る――。 先進国と途上国、観光する側とされる側、富者と貧者、大人と子ども、それぞれの間に横たわる闇と溝に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
25
カンボジアの営利目的の孤児院の実態を告発するルポ。最近、世界の日本人みたいな番組が多いが、その中で紹介してなかったか?というところが出てきた気がする。良きにつけ、悪しきにつけ孤児院という場所がないよりは、あった方がマシなのかもしれないが、やはり、しかるべき対策をただちに打つべき。2017/07/21
Humbaba
6
本来守らなければならないことが、お金によって捻じ曲げられてしまう。それはとても大きな問題である。嫌なことであってもそれを告発すれば自分の生活が成り立たなくなってしまうとすれば、事実を曲げざるを得ない。そうして弱いものが搾取される社会が正しいものであるはずがない。2017/09/18
二階堂聖
4
ルポなので、問題をどうすれば解決できるのかはもちろんない。だまされてセンチメンタルなバックパック旅行に酔いしれているアホなボランティアや旅行者が賢くなったら、解決できるわけでもないし…。『カンボジアでは「孤児院」と呼ばれる施設が、弱い立場の子どもを保護するためではなく、観光客の見世物として利用されている実態がある。そこには多くの日本人も、カンボジアの孤児院を訪問し援助しているという現実もある。(P15)』2017/08/21
erie
3
スタディツアーから疑問を持った著者の修士論文が元になっているらしい。人に疎まれたり、危険な目にあったりもするかもしれないこういう取材を敢行する人がいることで、こうした知見が得られるのは非常にありがたい。やはりパンフレットやウェブサイトだけではわからないさまざまな人間模様、人の思惑が見られる。しかし子供たちには罪はないのでなんとか真っ当な教育、倫理観を身につけられるようになるといいと思うのだが…2022/04/03
runatica
2
ごめんなさいね、わたし、元々ボランティアというものは偽善にしか聞こえないひねくれた人間で。確かに、困っている人の力になれるならなります。でも大声でボランティアやってます!アピールしながらではなく、自分に出来ることをひっそりと。それにしても大人は狡い。日本のNPOも質はそれぞれ。本当に子どものことを思って手を差し伸べている人たちに失礼だ。本著にはあからさまなペドの被害は書かれていなかったけど、そういう人間(もはや獣)になんの警戒もなく子どもを曝す孤児院ビジネスを続けさせるよりも他に出来る支援があると思う。2018/03/31