内容説明
民間の医療法人ルミネ研究所は、金持ちの患者相手のガン治療で驚異的な成果をあげていた。しかし謎の出火事件後、その記録は所長の倉石とともに失われ、研究所は閉鎖されていた。一年後、外資系製薬会社プラスケミカル社に倉石と名乗る人物から、研究成果を売り渡すとの連絡が入る。開発部の課長・廣田は、社の密命を受けて、非合法な調査に乗り出すことになる。いびつな欲望が入り乱れる、倒錯のメディカル・サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オフィーリア
32
画期的な癌治療法を巡る医療サスペンス。超美形の製薬会社幹部が男女問わず落としながら非合法な事にも手を染めつつ駆け回ります。医療の薀蓄盛り沢山で展開も目まぐるしく楽しめました。創作物で非合法な事まで散々やりたい放題しているせいか、私の中での製薬会社像が秘密結社の様なものになってきますね。2018/10/28
vivi0928
1
最後の最後まで誰が誰だかわからなかったー。 廣田もカッコいいけど宮城の野生なカッコよさに惹かれました。2016/02/07
charuko
1
1998年刊行、2008年文庫化のメディカル・サスペンス。あとがきでは、若い女性向け、耽美もの、当時売れていたサラリーマン小説を書くつもりだったとのこと。とはいえ、不老への執着というモチーフ、同性愛やそれ未満の関係の描き方、会社内の生き残りゲームを軸としたサスペンスな展開など、今読んでも全く古びてなくて、とても面白かった。2015/06/21
ひわ
1
文庫になってから買い直して積んでおりましたがようやく再読。廣田がとてもかっこいいのはわかるのだが、いまいち魅力を感じられなかったのは、自分が年をとったからだろうか… 対して、斑猫とエンジェルの得体の知れないところがよかった。後半の謎解き部分、先が気になって一気に読み進めてしまった…! ところで先生…ルドルフォの完結編は出ないんでしょうか…2013/05/09
ベック
1
なにより本書を抜群の読み物にしているのは、作者の確かなディテールの描写だ。巧緻ともいえる精巧でブレのない細やかな配慮が隅々までなされており、それによって強調されるリアリティが読む者を圧倒する。そして、さらに魅力的なのが多彩な登場人物たち。ため息の出るような美形と描写される主人公の廣田をはじめ、彼の相棒を務める大食漢でワイルドな後輩宮城、口が悪くガサツだが、どこか憎めない廣田の上司である岩崎、そしてもう一人の主人公ともいうべき謎の人物『斑猫(はんみょう)』。様々な人物があらわれ、物語を盛り上げていく。人物の2010/02/23