内容説明
戦前の共産党の実態はどうだったか。その成立のいきさつ、コミンテルンによる支配、資金の出所、組織、相次ぐ転向者など──戦時下の弾圧による党崩壊までの激動の歴史を実証的に追い、当時の関係者の証言を記録する。理論や主張としてではなく、生きた人間研究としての初の本格的な通史。全3冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
190
第1回(1979年)講談社ノンフィクション賞。 共産党の暗部を白日の下に晒したこの本、 日本共産党が強硬に反論したらしいが、 書かれた内容は重く、深い。 1976年から1977年に文藝春秋で 書かれたという内容は 今読んでも 新しく 驚きを禁じ得ない。第1巻は 日本共産党 の誕生から、武装共産党の時代までを描く。2017/07/18
i-miya
38
(立花隆) 1940、長崎生まれ。(はじめに) 1976.01-1977.12、文藝春秋連載、2年間。脱レーニン主義の路線転換、明確になる。「リンチ共産党事件」。共産党のいつもの議論の仕方。私の社会観は、エコロジカルな社会観である。多様な人間存在、多様な価値観、多様な思想のその共生と交流こそが健全な社会の前提条件。批判的交流。方法はロジックス(論理)とセマンティックス(意味論)である。2011/07/10
カブトムシ
22
私は、大学時代に雑誌の「文藝春秋」で、リアルタイムに読んだ。確か後で参考文献を示すと予告していて、最後にどっさりと載ったので驚いた。後で解ったのは、グループで参考資料を集めていたのだった。私は何年かしたら解ってしまうのだから、参考文献を極力示すようにしている。私は、ひとりで書物を購入した。大体は、読書案内を利用した。立花さんの本も読書案内として、購入した。「日本共産党の研究」は、文庫本の参考文献は、20数頁に渡っていたように記憶している。立花さんの本は、レベルが私にとっては高過ぎて、ほとんど読めていない。
かふ
21
宮本顕治元委員長のスパイ査問事件でスパイとされた人が死んだことで、それをリンチ殺人とするか過失致死(外因性ショック死)とするかで立花の主張は、それを過ちと認めた上で戦後共産党を出直すべきとし、戦前から変わらぬ中央集権的体質を批判する。当時(1930年代)は治安維持法の国家反逆罪で重刑を課せられたので、スパイリンチ事件はうやむやになった。ただ共産党は治安維持法下で壊滅状態にあり、公安のスパイが共産党に数多く潜入しており、疑心暗鬼の中で行き過ぎの詰問が行われたのではないかとする。2021/06/29
ステビア
18
名著の呼び声高い本書をやっと読み始めることができた。第1巻は党の発足〜武装共産党壊滅まで。2020/08/23