内容説明
門前仲町の伝兵衛一家を殲滅した帯刀。担当になった深川の町廻りを始めると、門仲で騒ぎが起こった。女郎屋で客同士が妓をめぐって喧嘩し、相手を殺してしまったというのである。しかし駈けつけてみると、話は違った。包丁人が客から料理に難癖をつけられ、喧嘩になりそうになったところへとめに入った店頭一家の若い衆が誤って客を刺してしまったというのである。若い衆はそのまま逃亡したという。殺されたのは、小間物問屋・浜屋の若旦那・太三郎。浜屋では太三郎の死に疑問を持ち、内儀のお甲が奉行所に帯刀を訪ね、真相の解明を依頼する。帯刀はさっそく探索に乗り出し、情報集めに奔走する。その結果、どうやら最初に聞いた、客が客を刺したというのが真相らしい。帯刀は門仲の杉松一家を問い詰めるが一向に埒が明かず……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
95
北町同心 一色帯刀「背後の影」2巻。意志強く自分の信念を曲げず妥協せぬ一色帯刀さん、はぐれ同心鬼頭龍之介さんと比べて読むと面白いですね。2018/02/28
トラジ
5
今までの慣例で店頭を筆頭に地廻りたちが治めていた寺社門前の繁華街を奉行所の統治下に於こうとした覇権争いを縦軸に、女郎屋の刺殺事件絡めて繰り広げられる捕物帳。帯刀の調整力と嫁の実家である古着商の探索力が読みどころ。2017/11/20
真理そら
3
堅物の帯刀と店頭とが筋の通し方で微妙に対立しているのが喜安さんらしくないなあ、と思っていた。が、ふと気づいた。木戸番シリーズや御纏奉行闇始末シリーズで店頭がかっこよく描かれていたのは主役が裏や闇の立場だったからなのだろう。その視点から描いた店頭像と堅物帯刀の視点から描いた店頭像にはズレがあって当然かも。2017/10/27