内容説明
◆先進諸国のなかで、日本の男女平等の度合いが最低ランクなのはなぜか? 学歴の男女差が縮まり、企業が両立支援策を推進しても、なぜなかなか効果が現れず、逆に悪化している指標まであるのはなぜか? 日本を代表する社会学者が日本や海外の豊富なデータと最新の統計分析手法をもとに解明する。
◆分析の結果、現在の「働き方改革」や「一億総活躍社会」の取り組みにとっても示唆に富む、次のような事実が明らかになる。
*「女性は離職しやすく、女性への投資は無駄になりやすい」という企業側の思い込みが、女性活用の足かせとなっている。
*労働時間あたりの生産性が高い国ほど女性活躍推進を進めやすいが、長時間労働が根付く日本では進めにくい。
*管理職割合の男女差は、能力からはほとんど説明がつかず、性別や子供の年齢、長時間残業が可能かどうかが決定要因となっている。
*女性の高学歴化が進んでも、低賃金の専門職(保育・介護・教育など)に就く女性が多く、高賃金の専門職(法律職・医師など)になる割合が著しく少ないため、賃金格差が広がることになっている。
◆著者の山口一男氏は、社会学で世界最高峰の位置にあるシカゴ大学で学科長まで務めた、日本人学者としては希有の存在。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
17
働き方の男女不平等 理論と実証分析。山口一男先生の著書。学歴や能力が同じ程度でも、男性と比べて女性の待遇が悪いのが日本社会。他の先進国比べても、日本は働き方の男女不平等の顕著。少子高齢化社会を迎えている以上、女性に気持ちよく活躍してもらえる社会制度が必須なのに、それがなかなか実現していない。働き方の男女不平等が解消されない限り、日本の将来は暗い。2018/07/12
jjm
15
分析結果は分析結果として正しいと思うが、筆者も自ら述べているようにその結果が何を意味しているかは、演繹的な数理的ロジックと異なり曖昧さや筆者の主観が入っている。著者の経歴を見ると一般企業の勤務経験がないようなので、分析の深掘りが足りないように感じた。例えば「勤続年数が同じでも男女で管理職昇進機会が著しく異なる」というのは事実であると思う一方で、企業が収支を見通し易い相対評価を採用している弊害も多分にあるはずなのに、それには触れられていない。出産等でブランクのできる女性との比較がフェアではないというのはある2023/04/20
Mc6ρ助
8
『〔ハートのクイーン〕女性雇用者たちがおる。彼女たちは離職の罰をうけて、賃金をカットされておる。・・そして勿論離職は最後にやってくるのじゃ。〔アリス〕でも、もし彼女たちが離職をしないなら ?〔クイーン〕それは一層良いことじゃ。〔アリス〕・・けど、彼女たちが罰せられるのは一層よいこととはいえないわ。・・〔クイーン〕・・その罰に値することを、もししないならば、 それはなおさら、・・良いことなのじゃー。(p234)』「1億総活躍社会」ではダメなのは、経産省の賢い人達は知っているに違いない。書いた文書が行方不明?2018/04/08
ばぶでん
7
最初と最後の要約部分だけの読書だが備忘として:日本では正規・非正規雇用の賃金格差が大きく、女性は後者の割合が大きく、更に正規の専門職の中でも賃金水準の高い医師、法律家、大学教員等の女性割合は低く、教員、保母、介護等の賃金水準の低い職種に就くことが多い。日本企業の女性管理職割合は先進国の中でも圧倒的に低いが、学歴・能力差では説明でぎず、無限定の長時間(低生産性)の労働に対応できないことに拠る。女性は辞めがちという統計格差が企業の女性への人的投資を躊躇させ、それが女性のモラル低下を招く悪循環も存在する。2017/08/17
時田桜
5
とても理論的に書かれていて素晴らしかった。男女不平等の不合理性をここまで理論的に書けるなんて。凄すぎる。2019/10/29
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