内容説明
「アメトーーク!」読書芸人特集・光浦靖子氏紹介でブレイク! 監禁される親子、救出に向かう双子と驢馬――独自の世界観で注目を集める気鋭が描く、荒唐無稽な冒険譚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
137
鉄格子の隙間からでも月を見あげたいから、真っ黒に塗りつぶされた壁を削って円を描いた。広大なキャンバスに双子の救済者と驢馬、困難だけれど絶対に辿りつける道を。砂漠には駱駝、湖には実のなる種を。 旅は終わらないし記憶は失われていく。そんなかなしいことを言わないで。いいえ、それはむしろ神にあたえられたただひとつの恩恵なのです。扉は永遠に閉ざされ希望は失われたけれど、そんなことはもはや重要ではない。まぶたを閉じれば月はいつでもそこで輝いている。2020/10/12
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
108
☆8.0(5点満点ですが) 一気に読まされてしまった。金子薫の世界観に脱帽です。 「君子危うきに近寄らず」と「君子」の親子ふたりは、何処ともしれぬ森の中のペンションに監禁され、少年と少女の双子が驢馬に跨がり自分たちを救いに来ることを心待ちにしていた。 金子薫の描く異色の冒険譚。 これで金子の作品で未読なのは『壺中に天あり獣あり』だけになってしまった。 もっと金子の作品読みたい、新作をどんどん発表していただきたい。 2021/03/06
(C17H26O4)
80
物語は漸く出口へ到達したかと思いきや振り出しへ。振り出しは辛いな、と最初は思った。しかし親子も双子もオーナーの配下等も、それぞれがそれぞれの役割をこなしながら一つの物語というゲームを進めていたようにも、また、彼らがどこかそれを楽しんでいたようにも思えてなんとなく可笑しさが感じられた。姿を現さないメタ的存在のオーナーは何者なのだろう。囲碁の意味するものは。入れ子の中にまた入れ子があり且つ始まりも終わりもない世界に、閉じている苦しさと、閉じているからこそであろう不思議な安心感を覚えた。物語は続く…。2021/06/23
キク
69
今のところ今年のベスト。部屋に監禁された記憶を失った男と少年は「自分達は親子で、驢馬に跨った双子がいつか自分達を助けにくる」と信じて、空想の地図を部屋の壁に描き続ける。アウシュビッツで絶望に囚われないように、8冊だけの秘密の図書館が運営されていたという話しを思い出す。絶望に対抗するために、物語が果たす役割はすごく大きい。なんで不条理なこの小説が、ここまで僕の心を揺さぶるのか考えてみた。部屋に監禁された親子と僕にそんなに違いはなくて、僕がどうかしてるほど本を読む理由も、きっとその辺に繋がっているからだろうな2023/05/05
keroppi
67
何で、この本を読もうと思ったんだろう。いつか、書評か何かで見かけたのかもしれない。記憶も定かではなく、監禁された親子が驢馬に跨った双子を待つという設定に惹かれたからなのだろう。記憶がない登場人物たちの寓意に満ちた絶望と希望の物語。監禁された親子も、旅する双子も、この後、どうなっていくのだろう。2019/01/10
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