内容説明
根岸の酒問屋に寮番の身で隠居する森口慶次郎のもとには、今日も様々な事件が持ち込まれる。かつて「仏」と呼ばれた腕利き定町廻り同心は、最愛の娘を不幸な事件で亡くした傷を心に隠し、今日も江戸の市井の人々の苦しみに耳を傾け、解決のみちすじをさりげなく示すのだった。そんな慶次郎の元に、婿養子の晃之助が急襲されたとの一報が届くが……。畢生の傑作シリーズ、ついに最終巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kira
12
シリーズ最終巻。単行本既読。作者が逝去されてから9年あまり。その間に、このシリーズは本屋の棚から消えてしまった。仏の慶次郎の異色の捕物帳という特質があるのに、わずか10年ほどで世間から忘れられてしまったようで、つくづく残念に思う。2022/06/26
kmzwrs5781
1
ラストだなんて寂しい。 今までも、これからも。 あの時代を語って欲しかった。教えて欲しかった。2017/05/29
二人娘の父
0
シリーズ最終作。 最終話は著者死後の雑誌掲載とのこと。タイトルは「冥(くら)きより」。なんと深いあじわいか。 北原亞以子は江戸を書ききったのだろう。それが確認できた作品だった。2017/10/19
鈴木正大
0
単行本で読んだが文庫版が出たので再読。絶筆となった本書も文章、人物描写共丁寧で美しい。慶次郎も晃乃助も寂しそうだ。 2017/07/19