内容説明
史上最高の名君にして政(まつりごと)の俊才の英知と決断! 北京に都して二十年足らず、後の大清帝国も未だ国定まらずであった時代。聡明な康熙帝は巧みに宮廷を掌握した後、国土南方に独立国家の如く存在する三つの藩廃止を決める。その最大の実力者、呉三桂は叛き大乱が始まる。若き皇帝と年老いた梟雄の心中に去来するものは? 清朝繁栄初期を見事に描く中国歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Take@磨穿鉄靴
35
世界史に興味を持ち勉強していく上で気になった康熙帝が主人公だと思い購入した作品。康熙帝の向上心に学ぶぞと思いきや架空の人物と思われる李基信の物語だった。肝心の康熙帝の葛藤や快進撃はほとんど無い。確かに主人公が都に居るだけでは話が広がらないから李基信目線はやむ無し。にしても康熙帝事典のエピソードとか最後の1ページにチョロっと出てるだけ。ネルチンスク条約でのピョートル大帝とのやり取りやルイ14世との交流についても期待していただけに残念。それでも読書として普通に楽しめた。呉三桂はよく自分を貫いた。★★★★☆2021/04/28
鐵太郎
11
賢帝とは、康熙帝(1645-1722)。大清帝国の第4代皇帝(在位1661-1722)。清国の中興の祖であり、中国史上最高の統治者の一人としてその名を残す。逆臣とは、彼の治世下で反乱(三藩の乱)を起こした男たちか。この、日本ではあまり知られていない人々を、さまざまな視点で描いたのがこの本。20年前の歴史小説では、こんな方法で歴史上の人物像を掘り起こすことはなかったもの。最初取っつきにくかったけど、たくさんの人々の流れを見ているうちに引き込まれた。いいね、小前亮節。2018/12/01
BIN
7
中国史で習うけどあまり内容は知られてない三藩の乱を描いた作品。賢帝である康熙帝と三藩の呉三桂や尚之信のそれぞれの選択に踏み切った経緯がよく描かれている。呉三桂がいいキャラしてる。マニアックな題材だけどこういうニッチなテーマをどんどん取り上げてもらいたい。2018/05/02
Ryo
7
紫禁城に行った時、清代に興味を持って手に取る。清代黎明期にあって賢帝とされた康熙帝と、それに刃向かう事になる三藩の乱を架空の人物である間諜の目を通して描く歴史エンタメ小説。話の大きさに対して少しボリュームが少なく、多少消化不良の感が否めないものの、読後感も心地よくそれなりに楽しめる本だった。乾隆帝の本もどっかで読みたいなぁ〜2017/09/19
coldsurgeon
6
中国史上最高の名君とされる清朝康熙帝と三藩の乱を描いた歴史小説。狂言回しとしての李基信の存在により、物語がとてもニヒリズムにあふれた流れとなり、康熙帝が完全無欠の人間でないことが描かれ、読むものを引き込んでくれた。2017/10/06