内容説明
「何回死ねるの?」ぼくはジェイムズに訊く。
「三回だ」と彼は言う。「『パックマン』の話だよな?」
「いや、一生で」
*
「七歳でプレイしたことがぼくを変えた。それはぼくに新しい成長の方向を与えた」
パソコンが未知への扉だった頃、子どもにとってPCゲームはセンス・オブ・ワンダーの源だった。本書はゲームと子どもの内なる関係を新しい筆致で綴る。
背景に垣間見えるのは、80年代アメリカの郊外地域の情景だ。レーガン信奉、第三次世界大戦の脅威論を煽るメディア……その只中で少年期を過ごした「ぼく」の頭の中は、ゲームと身近な人々のことでいっぱいだった。
数字の力、地図の力、「ここではない」世界の創造、魔法と絶望、死について……みんなゲームが教えてくれた。だがそれと並行して、「ぼくの中の別の部分は、人から遠ざかる方向に育とうとしていた」
残忍なスクール・カーストや、ぎこちなさを増す現実世界との関わりの記憶は、唯一の拠り所だったゲームの記憶とともに、著者の脳裏に一層深く突き刺さっている。
ゲームと人生の奇妙な二重奏に引き込まれ、胸を衝かれるスリリングな一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
garth
14
「コンピューターゲームが歴史を知っているのは、愉しみを知っている身体。今この時代に歴史を欲する唯一の理由は、愉しみのためだ。世界はもう歴史を必要としていない。世界には資本主義があり、資本主義は世界を必要としていない」2017/10/28
ヴィオラ
7
昔々。PCゲームに一時期ハマった事があって、この本に出てくるゲームも何本か経験した。今のPCに比べると性能は圧倒的に低かったのに、そのゲームの中の「景色」は負けてない。思い出補正っていうよりは、当時、不足している情報を脳内で補正しつつ遊んでいたからだろうな。小説ではなくエッセイみたいだけど「3Dであなたが得るのは、あなたが見ているものだ。2Dであなたが得るのは、あなたが見ているものすべてと、加えて、見えないものすべてだ」みたいな印象的なフレーズも多い。作者の小説も読んでみたいけど、小難しい作品になりそうw2019/02/18
niz001
3
登場ゲームは有名どころが多いけど、母親のヒステリックさと文化の違いがしんどくて感情移入しづらい。2018/05/05
カワニナ
2
想像していた内容とは少し違った。黎明期のゲームをプレイする中で筆者が感じたことや世界の認識の変化、空想、さらには、ゲームのある生活の中で生まれた家族や友人との摩擦などについて書かれている。内容はエッセイに近く、ポイントを抽出するのが難しい。「24のHPしかない主人公が490ポイントのダメージを受ける」という状況は、筆者の現実世界に対する認識を大きく変化させたと思われる。こうしたことは、ゲームが我々の思考を拡大し、クリエイティブにしてくれる良い例のひとつと言えるだろう。2017/10/29
KEATON
0
なかなか珍しい生粋のPCゲーマーの子供時代からのゲームライフを綴った本。コンシュマーゲーマーから見るとPCゲーマーは全くもって鼻持ちならないという印象であったが、その印象は正しいと確信してしまう一冊ではある。2017/12/21
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