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内容説明
(文化庁メディア芸術祭〈第20回〉・マンガ部門・審査委員会推薦作)
医療の現場でふれた、課題と光明。
しかし、取材をすすめれば、取材対象者の見解をすんなり描けない
現実にもぶつかって…
マンガ家は、自分のマンガに揺れ動く…
結局、僕らの“ほんとう”はどこにある?
マンガで進化する、新感覚ドキュメンタリー!!
&ミステリー!?
ついに完結へ!!
マンガがいちばん人に迫るのだ!!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小夜風
35
【所蔵】聴覚障害者です。普段の生活の中で「聴く」ことにあまり神経を使っていないせいか、このマンガを読んだ直後からいろんな音が気になり、娘に「これは何の音?外でヘリコプターが飛んでるの?」と聞きました。何も聞こえないという娘に「ほらこれ!この音だよ~」としつこく聞いたら、何のことはない…扇風機が回っている音だったみたいです。補聴器を購入する時に、あまりに音が煩わし過ぎて我慢が出来ず、結果最小限の音に留めてもらったこともマンガの通りです。本当の音がどんなものなのか、私の脳はもう忘れてしまったのかもしれません。2017/10/09
トラシショウ。
32
聴覚障害者それぞれに個人差があり、同じ「50デシベル」でも聞こえる人と聞こえない人がいる。実際には聞こえる筈の音が心因性難聴で聞こえない人もいる。新たな発見や難聴、耳鳴りのメカニズム解明と治療に挑む人々との出会いと知識を得ながら、吉本は佐村河内守へ忸怩たる想いを大きくしていく。そして・・・。完結。遂にタイトルの「アンタ」の正体が判明するも、最終回である19話には「最終回」の表記はない。もつれた関係は修復できず、煮え切らない、消化不良な結末。けれど、その「煮え切らなさ」こそが核心にある(以下コメ欄に余談)。2017/10/04
ふじ
22
このマンガを読むと、良い本が、売れてほしいのに。そんな悔しい気持ちになる。まず、近所の書店では手に入らないから。聴覚障害のリアルにせまるルポ。始めは「佐村河内さんだけを描く作品ではないから」と言っていたが、最後には、彼の障害の分かりにくさがそのまま聴覚障害の多様性を映していたのでは、と締めくくられる。どう聞こえているか、を客観視する研究はまだ発展途上だからこそ、治療者にも患者のリアルはわからない。全く縁のない、周りの人には尚更。でも、案外何かしら耳が悪い人は身の回りにいるんだよね。わかりやすく良書。2018/06/10
ジロリン
17
本人以外には実感できない感覚を、マンガを使って上手く表現してるな…と思いながら読み始めたマンガだが、その背景にこれほどの”生みの苦しみ”があったとは。聴覚障碍という”見えにくい”障碍と、それらを囲む環境について真摯に語ろうとする作者。しかし真摯に向き合う態度が、けして全ての免罪符にはならない難しさ…最期の場面、(記者会見と思われる)マイクの列が並ぶ席が無人である事が胸を衝く。2017/10/09
かやは
14
聴覚障害をテーマにした漫画。捏造騒ぎで問題になった佐村河内氏も取りあげられている。残念ながそのあたりは綺麗にまとまっていると言い難いが、これは是非全ての人に読んで欲しい。聴覚とは繊細な器官で、どの部分に損傷があるかは個々人でかなり差が出るし、症状もそれぞれ異なってくる。日本の保障は諸外国に比べれると、明確な聴覚障害と難聴でかなり差があるらしい。補聴器も医師の診断なしに販売する側が調整するだけで満足に機能を使いこなせてないこともあるようだ。世の中知らないことだらけなんだ、と再認識させてくれる一冊だった。 2018/05/25