内容説明
『あしたのジョー』『タイガーマスク』『巨人の星』など、現在でもリスペクトされ続ける名作コミックの原作者・梶原一騎。数多くの作品で読者の心をつかんだ天才は、しかしその栄光の裏で影も引きずっていた。人間・梶原一騎に鋭く迫る傑作ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅうと
18
今まで知らなかった梶原一騎の素顔を知ることができた。よかった。梶原一騎作品の読み方も変わりそう。2021/12/27
旗本多忙
18
どの様な内容が書かれているかは、題名でおおよそ推察できた。スポ根ものや、空手の大山倍達を語る上では必ず名前が出てくる。地位やお金や名声が上がると、人は良い方にも悪い方にも段々に変わっていくものかもしれない。しかし小説を読む上では、私ら読者にはそんな裏舞台などどうでもいい。作品が好きになれるかどうかだ。そういった意味では、漫画界で一時代を築いた梶原一騎は私は好きだ。私らが学生の頃に影響を受けたのは事実であるからだ。改めて、その人となりに触れた一冊であった。2017/03/19
Katsuto Yoshinaga
6
梶原一騎は、40代以上のおっさんの何割かが必ず食いつく素材だろう。呉智英氏をはじめとした漫画劇画評論が好きだった私は、本書を本屋で見かけてしっかり食いついた。台湾人歌手や格闘関連のスキャンダルについては、ほぼ同時代で見聞きしていたが、梶原氏の実父の経歴や氏の最盛期の作品群はリアルタイムには触れていないので、ひとつの出版史として楽しめた。しかし、本書を他人には薦めにくい。誤字脱字は多いし、漫画劇画史のある程度のバックボーンがなければ、実に読み難い(はずだ)。ちゃんと推敲してほしい。題材は良いのに残念な一冊。2017/03/05
神無威
5
梶原一騎の生き方には、共感できないけど、彼が数多くの名作を残したのは事実。手に入れたものを次々に自らの手で破壊していく様は、形は違うけど彼の劇画そのもの。それを名作として受け入れてる我々にも破壊衝動が眠っているのだろうか。2017/05/28
淡雪
3
新潮社で単行本として出たときの「夕やけをみていた男」というタイトルは、「虹の生涯」に匹敵するくらいすばらしいタイトルだったのに、なんでこんな説明調のものに改題しちゃうかなぁ。それだけで文春文庫版のほうがおすすめです。2017/04/02