内容説明
かつてベトナムの逃亡米兵を国外脱出させた川久保は、極秘依頼を受けた。新型レーダーの機密データを持つ元自衛官を、潜伏先の京都から根室を経て、ソ連に渡してほしいというのだ。警察と謎の一団による追撃を振り切って、一路、北上をつづけた川久保と男だったが、函館到着と同時に、逃亡計画は中止された。なぜだ。二転三転する敵と味方。罠と裏切りの荒野に、男の孤絶の闘いがつづく。圧倒の冒険長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひよこ
41
『深夜プラス1』にオマージュということで、冒頭はかなり似通っているが、ほぼオリジナルの内容。当初の依頼から事態が徐々に変わっていき、 登場人物たちも一体何者なのか分からなくなってくる…。中盤にだれてしまったところと、終盤がバタバタして不明瞭に終わってしまったようにかんじる部分があったので、そこは残念。ハードボイルド冒険小説としては読み応えがあったと思います。2019/07/10
おぎにゃん
12
警察と謎の組織の襲撃をかわしつつ、ひたすら北へ向かう肥満男+マッチョ+いけ好かないジジイ+わけあり美女…短く歯切れのいい文体。危機になればなるほど、冴え渡るウィットと減らず口。読んでてニヤニヤしっぱなしだった。さらには…男と女。刹那の再会。捨てられない意地と誇り…そんなセンチメンタルなシーンにしんみり。大規模な陰謀?そんなものは背景にすぎない。ハードボイルドの全てが詰まった傑作です。2014/02/02
まこ
10
男は、過去に裏仕事をしていた関係から、機密データを持つ元自衛官の国外脱出の手助けを依頼される。追っ手は国家権力を持つ組織。対する主人公グループは力士体形の凄腕ドライバー、やけに上から目線のナビゲーター(銃装備)、荒事には縁がなさそうな女性看護士。チグハグな彼らは任務を遂行できるか…登場人物が全員中年以降。大人向けかも。主人公はハードボイルドといってもいいような感じなんだけど、「でもデブなのよね」と頭の中で突っ込みが入る。車での逃走シーンが大半なので、各所の風景描写やカーアクションは読み応えアリ2014/09/28
はまちゃん
9
久しぶりの志水辰夫作品。過去にベトナム戦争から逃げ出した米兵を国外脱出させる活動に運転手として加担していた川久保治之が新たにスパイ容疑のある元防衛庁幹部を京都から北海道まで運ぶ道中に襲いかかってくる難事を切り抜けながら進んでいく冒険小説。同行する元防衛庁幹部の部下と看護師の女、そして行く先で助けてくれる川久保の昔の仲間たちのキャラが立っており、読みながらワクワクしてくる。函館到着後の展開が急すぎて、ちょっと尻切れトンボ感もあるが、それでもシミタツはやっぱりおもしろい。2024/01/17
たーくん
7
再読→→→かつてベトナムの逃亡米兵を国外脱出させた川久保は、極秘依頼を受けた。新型レーダーの機密データを持つ元自衛官を、潜伏先の京都から根室を経て、ソ連に渡してほしいというのだ。警察と謎の一団による追撃を振り切って、一路、北上をつづけた川久保と男だったが、函館到着と同時に、逃亡計画は中止された。なぜだ。二転三転する敵と味方。罠と裏切りの荒野に、男の孤絶の闘いがつづく。圧倒の冒険長篇。 2018/08/31