2084 世界の終わり

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2084 世界の終わり

  • ISBN:9784309207308

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内容説明

2084年、核爆弾が世界を滅ぼした後、偉大な神への服従を強いられる国で、役人アティは様々な人と出会い謎の国境を目指す。アカデミーフランセーズ大賞受賞のディストピア長篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Koichiro Minematsu

51
2084年近未来の世界は文明崩壊し、宗教が力を見せ国家を全体主義が覆う。舞台はイスラム系の国家で宗教感にもがくアティを中心に、抵抗しながら己の生き方を模索する、不安に苛まれる中で生きようとする苦悩。全てがふりだしだ。やり直すしかないし、それでいいのかも分からない。2021/02/06

syaori

48
舞台は宗教が支配する全体主義国家アビスタン。この体制に疑問を持つようになったアティの目を通して描かれる、祈り働くルーティンと秘蹟が交錯するアビスタンでの生活は、全体主義の行き着く先の一つを示しているのだとは思いつつもどこか遠い世界のような感覚だったのは、日本には国家的な宗教がないからかも。ただ、疑問を抱きつつも体制の前になすすべもないアティやトーズの様子は他人事とは思えず、では現在の日本にはどんな物語が必要なのかと考えてしまいました。そしてそこで自分はアティたちのように疑問や夢を持てているのだろうかと。2017/10/27

ヘラジカ

26
皮肉なことに未来への不安は素晴らしい文学を生み出す。古今東西、度々小説の形式で語られてきた終末世界・ディストピアが、昨今高まりつつあるイスラム教の脅威によってこの傑作の形をとって姿を表したのを喜んで良いのだろうか。もちろん、この小説をイスラムの影響関係に限って語るのは間違っている。宗教の恐ろしさだけではなく、『1984年』同様、巨大権力が統治する世界とその限界・終わりを描いていることは疑いようがない。それは仏教だろうがキリスト教だろうが変わりはないのだから。(2017・57)2017/08/29

em

19
「体制側がその絶対主義を維持する方法は、先手を取ること、体制側自らが反体制派をつくり、それを本物の反体制派にサポートさせるように仕向けることだ」アルジェリアの作家によるディストピア小説。アルジェリアでは、現在も文学が検閲対象となっているそう。かつての東側から、色々なことを押し付ける矛先をただイスラムに変えるというのはちょっと疑問もあるけれど、これは読者の身を置く環境にもよるのかもしれない。ともあれ『1984』から始まった物語は、今もリアルに見える。2018/09/16

zoe

17
2084年から存在する閉ざされた狭い宗教に支配されかつ相互に監視する世界。世界の端が気になったり。そして2084年以前の世界は?2018/02/07

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