内容説明
戦後日本を代表する知識人・丸山眞男(1914-96年)は何に躓き、「憂鬱」に陥ったのか? 主著『日本政治思想史研究』(1952年)を読み解き、後年の論文「闇斎学と闇斎学派」(1980年)と山本七平(1921-91年)の『現人神の創作者たち』(1983年)を併置・対照することを通して、日本の近代化に潜む真実を明らかにする。これまで誰もなしえなかった不可欠の試みを実行する画期の書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
97
橋爪さんの小林秀雄の評論を読んで比較的フィーリングがあったのでこの本も手にとって見ました。著者は小室直樹のゼミで読んだことがあるとのことで丸山真男の「日本政治思想史研究」についての内容を紹介しつつ批判的な分析を行なっています。山本七平の「現人神の創作者たち」と比較しつつ山本のほうを評価しています。私は両書とも読んでいますがそんなに深い分析はしなかったのですが、この作者ほどの違いはあまり感じられませんでした。ただ問題意識をかきたてられたので再度読もうという気を起こさせてくれました。2019/06/02
kenitirokikuti
9
図書館にて。最近、本居宣長を学習しているのだが、その途中で目に入ったもの。後書きなどで説明されている通り、丸山の『日本政治思想史研究』および「闇斎学と闇斎学派」だけでなく、山本七平『現人神の創作者たち』も大きく扱っている▲小室直樹ゼミの話に懐かしさを感じた。そういや、小室は丸山を高く評価してるんだっけ…。別のところで触れられているように、吉本隆明は丸山の権威に挑む戦略であったから、吉本エピゴーネンの影響を受けて育った自分は丸山の評価は高くない。文学でいうと大江健三郎への姿勢と同じか。2021/06/28
衛府蘭宮
5
丸山眞男『日本政治思想史研究』と山本七平『現人神の創作者たち』の内容を紹介し、比較・検討を行う。敬意を持って批判(主に丸山を)し、両者の議論を継承していくぜという感じ(小並感)。『日本政治思想史研究』は一生読めなさそうな本なだけに、(適切か否かは判ずること能わずと雖も)その簡潔な内容紹介はありがたい。(が、思想史界隈ではガンガン批判されている同書について「なぜ誰も批判しないのか」と述べているのはいただけない気がする)2017/09/19
echo.
3
近代化とは、既にできあがったどこかの近代に感染することではない。 われわれ自身のプレ近代にその萌芽を見つけ、そこから個人の「義」、ふるまいかたを立ち上げていくことなのだ。憂鬱になっている場合ではない、「げんきになる」のだ。 まさに日本の社会科学の真骨頂はここにこそある。素晴らしい。2019/02/16
Isamash
2
東工大名誉教授の橋爪大三郎の著作。丸山眞男は『日本政治思想史研究』により近代の萌芽を荻生徂徠にあると結論づけたが、それを厳しく批判。神格化されているが、それは政治学という海外からの新しい理論に脅かされない領域で有ること等に起因するとも説く。一方在野の研究者ではあるが山本七平の『現代神の創作者たち』を高く評価し、朱子学から生まれた山崎闇斎と闇斎学派(崎門学派、浅見絅斎ら)が近代を切り開いたとの説に同意。彼らが儒学を神道に接続させ、イエの倫理を水戸学に持ち込み尊王攘夷思想を形成し明治維新への道を作ったとした。2021/07/27
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