内容説明
マルティン・ルター(1483-1546年)は今から500年前、宗教改革を始動させた。本書は、1517年に公表された「95箇条の提題」に加え、その3年後に相次いで発表された「宗教改革三大文書」と称される『キリスト教界の改善について』、『教会のバビロン捕囚について』、『キリスト者の自由について』をすべて収める。その大部分が初の文庫版となる重要著作を第一人者が翻訳した画期的新訳!
目次
訳者序文
贖宥の効力を明らかにするための討論〔九五箇条の提題〕
キリスト教界の改善について──ドイツのキリスト教徒貴族に宛てて
教会のバビロン捕囚について──マルティン・ルターによる序
キリスト者の自由について
訳者解説
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゃんたか
23
ルターほど、神に愛され、時代に愛された人物がいただろうか。この時代、まさに歴史は動いた。神を愛する一途な信念と圧倒的な聖書知識のみを頼りに、九十五ヶ条の提題で知られる贖宥状の偽善、カトリック教会に蔓延る七つの秘蹟の嘘、教皇を頂点とする三つの城砦の虚妄を虱潰しに論破していく。ルターの予言通り、今日では法王庁が世俗権力を失い、信仰義認の教義は戦後のカトリック教会も受け入れざるを得なくなった。逆説的だがここに見られる歴史事実そのものが、聖書から離れた人間の傲慢、我欲に汚い人間の罪深さとをいみじくも物語っている。2018/01/01
Ex libris 毒餃子
7
去年が宗教改革500周年がだったので、読んでみました。ルターが問題としていたのが、バチカンのキリスト教観だけでなく政治的態度もだったと理解できました。あとがきで神聖ローマ帝国がバチカンからの権威付けがないとその正統性を保障できないから「ローマの牝牛」となっていた、とあり新しい発見でした。サクラメントのあり方を問題視していたのが興味深かったです。2018/06/08
belier
4
ついにルター本人の書を読む。さすがに非常に雄弁で、歴史を動かした人の文章の迫力はこういうものかと読み応えがある。訳もいい。内容は多岐に渡る。当時の教会や政治についてジャーナリスティックに鋭い批判を展開するところもあるし、もちろん神学的な論を突き詰めて論じる箇所もある。解説本で読み落としていたのかもしれないが意外だと思ったのは、ドイツ民族主義的な主張が目立ったこと。なるほどこれなら、密かにローマ中心主義に対抗したいドイツの諸侯がいたら、熱心に支持したに違いないだろうという、的外れかもしれない感想を持った。2017/12/23
Go Extreme
1
男気ある発言が領主や自由都市の野望を後押し 教皇は汚れたお金で大聖堂を建設 聖職者は世俗権力から免れている 教皇は改革のために権力を与えられた 金蔓である聖職禄がローマの手に渡る ローマの飽くなき貪欲 大罪を擁護する教皇は役に立たない 強盗の掟 修道院維持命令でごまかす破壊行為 異教徒よりも卑劣な聖職禄の争奪 サタンの巣窟としてのローマ 教皇制度はバビロン王国 神の約束としてのサクラメント 信仰だけが人を義とする 死後への不安が信仰を歪める 信仰のみが宗教改革の根幹 基礎工事は変えず制度を作り直す2025/04/27
Go Extreme
1
宗教改革の背景: ルターの影響ー信仰告白で16世紀ヨーロッパの宗教的・社会的変革促進 カルヴァン主義の登場ー都市住民階級や商人層の間で支持→プロテスタント文化の形成 ルターとカルヴァンの思想の比較: 未来への期待ーカルヴァン・ルネサンスを未来への希望vsルター・批判的 社会的影響ー宗教的革新→社会全体に広がる影響 カルヴァン派・平和や秩序の確立寄与 近代の歴史解釈: 固定化の問題ー固定化された視点→歴史叙述の弱点 歴史再考ー流動的な関係性に注目 文化的関係・影響: 民族・国際・社会・経済 エリート層の挑戦2025/01/19
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