スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち  標高5000mで動き出した史上最高の“眼”

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スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち  標高5000mで動き出した史上最高の“眼”

  • ISBN:9784864430425

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内容説明

ノンフィクション作家の山根一眞が1998年から取材を始めた電波望遠鏡「アルマ(ALMA)」。
この電波望遠鏡は、南米チリのアンデス山脈のアタカマ砂漠、海抜5000mの高地に設置された。
そこは草木が一本もないまるで火星のような光景が広がる砂漠である。
その砂漠に全66台のパラボラアンテナからなる電波望遠鏡が設置され、
2013年3月13日に完成式典が行われた。
アルマという巨大な電波望遠鏡が完成することによって、
日米欧による過去最大といわれる国際共同プロジェクトが、幕を開けた。

本書では、30年にわたる巨大電波望遠鏡の開発と建設のプロジェクトを追うことで、
長く凋落ばかりが語られてきた日本のものづくりの底力と日本人の努力の大きさを伝える。
作者は現地のほか、電波望遠鏡の建造に携わった天文学者たち、ものづくりのメーカー、
そして町工場などを訪ね、数多くの取材を丹念に重ねてきた。
そうした関係者の熱い思いをインタビューしながら、
アルマの全貌と宇宙の果てを探る壮大なミッションを丁寧に解説する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chimako

97
「人類にとってまったく違う宇宙」がアルマによって始まる と科学者は言った。南米チリの砂漠に立つ巨大な電波望遠鏡。数多くのアンテナ。プロジェクトXさながらの大事業。試行錯誤の日々。技術の粋を結集したアルマ。そして、早々にそれを実証するようにおうし座HL星を取り囲む塵の渦をとらえる。ノーベル賞級の実績だというそれが、どのようにすごいのか残念ながら良く理解できない。が、そのプロジェクトに知っている人が参加していると知って俄然宇宙が身近に感じられる。128億光年の彼方から発せられた電波は何を教えてくれるのか。2018/01/25

コダマ

26
南米チリの標高5,000mの高地に建設された巨大望遠鏡アルマ。アルマにより、100億光年先にある、星や惑星の材料となる塵やガス、生命の材料になるかもしれない物質が放つかすかな電波を受信が可能となる。それにはアメリカ、ヨーロッパ、日本と多くの人間たちが関わっている。その中で日本の科学者、技術者たちが技術を結集させてアルマの完成に挑む。挑んだ方達の生の苦労話(笑)2019/01/11

to boy

26
南米チリに設立したアルマ望遠鏡。電波天文学の最先端を行く設備で見えたのは惑星誕生の瞬間。最初の写真が感動的です。日米欧の協力と言えば聞こえがいいが政府の予算の都合で様々な困難にさらされる科学者たち。そしてとてつもない精度要求に立ち向かう町工場。いつも思うのだが、対応できる工場もすごいけど、そんな会社を探し当てる科学者たちもすごいと思います。これから宇宙の謎を解明してくれるアルマに大いに期待しますが、日本のマスコミの関心の無さにはがっかりです。2017/10/11

koji

17
本書は、遥か彼方の宇宙から数十億年かけて地球に届く電波を捉える「電波望遠鏡アルマ」の設置に至る苦闘を追ったノンフィクション。読み所は多いのですが、そこは私の仕事柄、中小工場の取材がぐっときました。一寸引用。鉄の細長い板の溶接の精度は0.5度が求められる中、そのひずみを神業的にガスで溶接していくさまがインタビューで語られます。「ひずむな!」思わず私も心の中で叫びました。そして、本棚から立花隆「サイエンスナウ」(1990年)を取り出し「野辺山宇宙電波観測所」の項を読み返しました。こういう楽しみ方もあるのですね2017/10/29

スプリント

11
観測対象うんぬんよりも望遠鏡の設備の巨大さに圧倒されました。パワープレイではなく技術と工夫で巨大設備を現地搬入した日本陣営に感服しました。ここでも行政が足を引っ張ってしまうんですね・・・。限られた予算でやりくりしなければならない苦労は十分に理解できますが。。。2017/09/24

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