内容説明
衝撃の話題作、ついに文庫化!
〈誕生〉
2003年、ニューヨークの産院で生まれた長女・千璃(せり)ちゃんは、いくつもの障害を持っていた。
〈葛藤〉
目、鼻、脳、心臓の相次ぐ検査。先の見えない中、両親は周囲の人々の反応に深く傷つくこともしばしばだった。
〈試練〉
生後10ヶ月で、目の中に義眼を入れるスペースを作る器具を入れる手術を受けて以来、千璃ちゃんは小さな体で8年間に26回の手術を繰り返すことになる。見えない、歩けない、話せない娘を育てながら前向きであり続ける母の、胸を打つ闘いの記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ユカ
43
図書館で。2011年発刊書籍の文庫化。私には子どもがいないのでよくわからないけれど、なんとなくアメリカのほうが子育てや障害がある子へのサポートが整っているような気がしていました。日本のほうが窮屈なんじゃないかと。けれどもアメリカは日本と主義が違い、さらに自己責任論や人種差別があって、どちらの国にも一長一短があるのだと認識が変わりました。倉本さんご夫婦が協力しあっている場面はとても好ましく、お二人ともすごく真摯な人だと感じた。O医師には本当に腹が立つ。倉本さんご家族の幸せを心からお祈りして。2017/09/30
スー
22
88アメリカでの出産でかなり心細い想いをしていたのに娘が両眼性無眼球症と知らされた時のショックと障害を持って産まれたのは自分のせいではないかという罪悪感、そして続く成長の為とはいえ義眼を入れる為に何度も手術して娘の痛々しい姿、目が無いために睡眠に必要なメラトニンが生成されず睡眠障害になり夜泣きがひどい、高額の医療費、子育てと障害のある子供の大変さを痛感しました。それにアメリカの医療費の怖さたった数分の救急車で4000ドルには驚愕で日本に産まれた事に感謝。読むのが辛かった。2020/07/01
yamakujira
4
米国在住の日本人夫婦が、無眼球症をはじめとする多発性奇形で誕生した長女を育てる8年間の記録。娘の障害を知った驚愕、事実を受け入れる諦観、進まない治療への絶望、不誠実な医師への怒り、成長を感じての希望、悲喜こごももの苦悩に襲われながらも、乗り越えられたのは娘の笑顔や言葉にもらう喜びだったのだろうと、切ない親心が胸を打つ。でも、義眼治療を最優先にした容姿改善に執着する彼女は、それが元CAの価値観と断じるよりも、贖罪意識に追われてるようで母子ともに痛々しい。米国は地獄の沙汰も金次第なんだなぁ。 (★★★☆☆)2020/07/20
るう
2
ニューヨークの産院で無眼球症の長女を出産したお母さんが書かれた8年間の育児記録。手術に費やした時間とお金を教育に使った方が、毎回の手術で恐怖心と痛みに襲われてきた子ども本人は良かったのではないかなぁと思うけれど、それは結果を知っている他人の目線なんだよなぁと。もしかしたら眼窩が広がって義眼を入れられるかも、もし鼻筋が通れば好奇の目に晒されないかも……細い細い糸のような希望を持って治療に臨むお母さんの姿が痛々しかった。外からなら何でも言えるけれど、辛さは本人にしかわからないのだから人と謙虚に接したいと思う。2023/02/27




