内容説明
少年の成長過程を通して語られる教育論『エミール』は、民主主義社会を担う、自立した人間のあり方を問う人間論でもあった。真に自由な人間を育てるために必要なこととは何か? 現代の実践的哲学者が、稀代の思想家を掘り下げる。
[内容]
はじめに 真に自由な人間を育てるために
第1章 「自然」は教育の原点である
第2章 「好奇心」と「有用性」が人を育てる
第3章 「あわれみ」が社会の基盤になる
第4章 理想社会のプログラム
ブックス特別章 自由に生きられるための条件を考える
読書案内
ルソー 略年譜
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
29
『エミール』(下)を読み続けるのが厳しく、未読の箇所に興味の惹かれる論点が残っていないか、今までの読解に誤りはないかを確認するために本書を読んでみました。分かったことは、この後『エミール』(下)にはもう読むべきところは残っていないということでした。著者は『エミール』を現在に直接的に役立つように倫理的な部分を強調して読解を試みていますが、捨て子経験に裏付けられた子育て理論と迫害を受けた理神論という「倫理はないが真理はある」ところに、依然として読むべき古典である理由があるのではないかと思います。2018/11/19
Eric
23
著者の述べる内容は当たり前に思えるかもしれないが、それだけ私たちの思想に浸透している価値観であるということ。著作が発表された当時は、相当の衝撃だったはず。2021/02/15
加納恭史
20
「エミール(中)」も丁寧過ぎて、読み進まないな。論点は幅広く、奥行きも深い。一旦この本のような手引きで、全体的な確認もしてみる。「あわれみ」で他者への共感の三つの格率(原則)を検討する。第一の格率「人間の心は自分よりも幸福な人の地位に自分をおいて考えることはできない。自分よりもあわれな人の地位に自分をおいて考えることができるだけ」。「気の毒に」「かわいそうに」と思える人に対しては、その人の立場に身を置くことができても、 幸福な人を見ると「うらやましいな」と思うばかりで、その人の身になり考えることは難しい。2023/07/09
しんすけ
19
岩波文庫の『エミール』を始めて読んだのは、二十歳前だと思う。人を育てるということに感動した。社会で自立した人間を育てることの素晴らしさを知ったからだろう。 それ以来だろう。新人を教育する立場になった時には必ず読んでいた。 首をかしげるようなところが一部あるが、読了したとき教育の素晴らしさに感動している自分を発見していた。 『エミール』でもっとも好きなのは第五編。二十二歳になったエミールがソフィーに恋をする箇所だ。 ソフィーは、もうすうぐ十八歳になる。2022/09/07
りょうみや
19
教育思想の有名古典、ルソーの「エミール」は文庫で上中下3冊なので興味はあっても手に取るのに気合がいるため、こちらを見つけて読んで見る。エミールの要点解説が中心だが「社会契約論」など他の著書やルソーの伝記も混じえて紹介しており、これ一冊でルソーのことが分かった気分にはなれる。個人的にはこれである程度満足したので原書は読む予定がなくなった。2020/07/17
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