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内容説明
歴史を書く単位として、国は小さすぎ、世界は大きすぎる――。一つの国で一つの文明をなす日本の歴史を、「文明」という単位で真正面から論じた著者渾身の力作。明治以来、西欧文明を移入吸収してきた日本は、敗戦後、国家観を喪失し、いま歴史的危機を迎えようとしている。このまま衰退してしまうのか、あるいは乗り越えられるのか? 西洋中心史観を超え、唯物史観、実証主義を超えて、日本の未来を指し示す。 ●第一章 文明史が示す日本の現状と危機 ●第二章 「文明史」とは何か ●第三章 日本文明史に見る「超システム」現象 ●第四章 「縄文」と「弥生」の日本文明史 ●第五章 日本文明が揺らぐとき ●第六章 昭和の大戦の文明史的意味 ●第七章 世界の中の日本文明――比較日本文明論1 ●第八章 日本はアジアではない――比較日本文明論2 ●第九章 文明としての米・中との対峙 ●第十章 文明史から見たあるべき日本の改革
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Tomoichi
9
「国民の〜史」シリーズ文明篇。前半は文明史の定義が続くので少し退屈ですが、定義付け以降の本題に入ってからは日本文明を西洋中心史観でもなく唯物論や実証主義からでもなく独自の視点で縦横無尽に考察していく。「天皇の位置」「対外環境」「国民の精神状況」が日本の文明に関わる活力や豊かさに関わる3条件であると説く。大著ですが難解ではないので知的刺激にどうぞ。2016/10/27
読書実践家
8
非常に知的満足を得られる本。日本の歴史を壮大な世界史の中の文明の衝突の中でとらえ、換骨奪胎という見方を示す。この見方はなかなか出来ないものだと思った。再読に値する、示唆に富む本である。2016/02/24
Orange
3
ひとつの文明をひとつの国が担っているという稀有な例が日本であるらしい。その特徴は外来の文明要素を、自分たちの仕様に作り変えて取り込む換骨奪胎システムであり、そのシステムがうまく作動していないのが現代なのだという。2003年の内容だが、文明論的理解からbrexitを予想していたり、米中対立の表面化の時期の予測もだいたい合ってる。また、中国は国を纏めるための大きなイデオロギーが必要で儒教、毛沢東思想の代わりが必要となるという指摘から、習思想の必然性が理解できる。示唆に富む内容。勉強になりました。2018/12/30
アラン
1
日本の歴史を、日本文明の基層である「縄文」期と、混乱時に外来文明を換骨奪胎して自らのものとする「弥生」期の繰り返しであると説く。日本が生き抜くためには、日本文明への拘り・プラグマティズム双方が必要と説く。著者の物凄い危機感を感じた。また、著者は、実証主義を相当批判しているようだ。私は、歴史学において、ミクロ・マクロ双方の視点が必要だと思う。マクロのないミクロは、単なるお遊びでしかないし、ミクロのないマクロは、上滑りになってしまう。ただし、一人で双方を研究するのが難しければ、分担するということもあるだろう。2015/03/31
とっぴぃ
0
文明という枠組みから日本を問い直してみるのは、日本に生まれ育った自分は一体何者なのかを考える上でとても有効な枠組みだと感じた次第です。2015/10/18




