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内容説明
歴史の真相を探るとき、そこには必ず「そこに至るまでの過程」と、「その原因となった火種」を見出すことができる。昭和16年12月8日未明の真珠湾奇襲に始まる太平洋戦争開戦にも、もちろん「そこに至るまでの過程」があった。本書は、日本がなぜ、太平洋戦争開戦を決定するに至ったのか。その過程を克明に描いた歴史ドキュメントである。一般的に「太平洋戦争への道」といえば、満州事変から論じられることが多いが、著者は「“海軍がなぜ開戦にノーといえなかったか”遠因をさぐるため」に、あえて昭和5年のロンドン海軍軍縮条約批准をめぐる統帥権干犯問題を第1章においている。それは、「複雑に絡んだ昭和史の謎を解く鍵は統帥権という“魔物”にある」からだという。手記や資料から歴史的事実のみを徹底的に拾い出しつつ、11年間におよぶ昭和史の転換点をドラマのように活写した文章は、長年『文藝春秋』の編集に携わった者の芸そのものである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
64
著者・半道一利氏は、戦記ものを書かせれば屈指の作家。膨大な資料とインタビューなどなど、裏付けされた知識が豊富で作品に十分な真実味をあたえる。本作品は、ロンドンの軍縮会議から、太平洋戦争の終端まで扱っていて、当時の日帝が泥沼の戦争へと踏み込んでいく状況が、陸海軍上層部と時の政府のやり取りが克明に描かれている。読みがいのある作品で、戦記ものが好きな方は、一読をお勧めする秀逸な作品である。2015/10/17
まつうら
25
最近は歴史修正主義が自虐史観をこき下ろす風潮で、ハルノートが悪いと論ずる向きが強いなと思っていた。そこで本書を手に取り、改めて著者の考えに触れてみたところ、ハルノートは必然で、それ以前の日本の行動にはいろいろ問題があったのだなということに気づく。流行りに乗りたがる松岡洋右がいなかったら? 近衛文麿がもっと責任感のある男だったら?? いや、当時の日本のリーダーがどんなに優秀でも、英米は弱い者(日本)いじめをやめなかっただろう、というのが歴史的事実かもしれない。2025/10/07
まりにゃ
7
“太平洋戦争”という呼び名は、てっきりアメリカGHQが命名したものと思っていましたが、そうではなく、真珠湾攻撃直後に日本海軍が主張した呼び名だそうです。陸軍にとっては“大東亜戦争”であっても、海軍にとっては、あくまでも“太平洋戦争”だったと・・・。いかに対米戦争への覚悟が悲壮で、重圧であったか推して知るべし。今年は、戦後69年。扇情的なナショナリズムが最も恐ろしいということを、歴史から学び、日本国民の理性を問われる年になるかも知れないと危惧しています。2014/02/04
1SSEI
5
日本がいかにして太平洋戦争へと邁進していったのかを重大事件を中心としてそれらの因果関係、あるいは全く予期せぬ要因なども含めて詳細に記される。その時々の会話のニュアンスまでを把握している取材力にはとにかく圧倒される。とりあえず、この時代を知る上でこれさえ読んでおけばOKと言えるレベルに徹底した取材と考察だと思う2017/01/31
ウッチー
4
満州事変から太平洋戦争に至るまでの昭和史を、何故戦争は止められなかったかという視点で切り取った本書。敗戦するという結果が分かっているため、戦争が回避出来そうなチャンスが訪れる度、反戦派を応援してしまうが、日本が戦争に勝っていれば、私の感覚も180度変わっていたのかもしれない。天皇陛下に実権がなかったという事は理解できた。太平洋戦争関連の本はもう飽きたので、当分読まない。2014/11/25
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