内容説明
逃げた女の謎に挑む時代ミステリー。舞台は鎌倉の東慶寺。別名駈込寺。男に愛想の尽きた女が一目散に逃げ込んでくる。寺役人の市助と門前にある菓子屋の和三郎が協力し、駈込みの子細を辿っていくと、女の性(さが)をめぐる凄まじいドラマと巧妙な悪企みが浮かびあがってくる。和三郎は忍びの裔(すえ)。影十手を躍らせ江戸の闇に挑む。痛快な時代ミステリー。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
14
駆け込み寺って、時代小説の一大タイトルと信じているのだけれど、忠臣蔵や心中天網島を本家取りにするなんてニクイニクイ。チャッチャッと次巻の「おねだり女房」へ進まないといけないし「尼首二十万石」に遡らなくてはいけない。イソガシイ、イソガシイ。2022/07/09
タツ フカガワ
12
2作目を先に読んでいましたが、この1作目の方が断然面白かった。鎌倉の縁切り寺東慶寺に駆け込んでくる女たちが抱えるドラマを軸に、物語が意外な展開となっていくので、ページを捲る手が止まらない。なかでも「冬霞妻敵討」の切ない結末には涙。2019/01/06
蕭白
8
随分昔に読んだものを再読。和三郎がカッコいいです。紀乃さんのツンデレっぷりも微笑ましかったです。2015/10/25
ikyo_01
8
2作目を先に読んでしまい、やっと今回1作目が読めたと思ったのに まだその前の短編が在ったとは・・・ 市助や和三郎たちの人柄などがとても素敵なので悪と認めた人達をバッサバッサと殺ってしまうのがとてもかっこいいのだ。2作目の方が少し明るい印象がありました。2010/12/04
ryohey_novels
5
非常に面白かった。舞台が東慶寺で駆け込み女絡みの事件、主人公が表は菓子屋、裏は忍びという設定が良い。商家、百姓、武家など各話のバリエーションも豊富で飽きさせない作り。悪人を死で償わせるのは必殺仕事人等でも見られる時代劇の王道だが、最近は「スカッと」系が多いからか、殺さずに償わせる方法はなかったかと感じてしまった。特に3つ目の「冬霞妻敵討」は相手は武家であり、母子姦通という大罪を公にし、生かして恥を晒し、法のもと正当に裁く方がスッキリ感がある。ただ、そう理想通りにいかないのがこの時代なのだとも一方で思う。2022/11/16