文春新書<br> 日本株式会社の顧問弁護士 村瀬二郎の「二つの祖国」

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文春新書
日本株式会社の顧問弁護士 村瀬二郎の「二つの祖国」

  • 著者名:児玉博
  • 価格 ¥896(本体¥815)
  • 文藝春秋(2017/08発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784166611317

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内容説明

2016年末、米国新大統領に当選したトランプ氏と安倍総理がニューヨークのトランプ・タワーで電撃会見し、大きなニュースとなった。この会見で安倍総理をアテンドしたのが、安倍家と親しい米国弁護士の村瀬悟氏。悟氏は、米国の有名弁護士事務所のパートナーを務める日系人3世だ。

村瀬家は、米国の日系人サークルの中でも特別な地位を占める。そのルーツは、悟氏の祖父に遡る。悟氏の祖父は、軍医として日露戦争で活躍するも、日本の医学のレベルの低さを知り、米ニューヨークのメディカル・スクールに留学。現地で開業する。ここから、日系人・村瀬家が始まる。

そしてニューヨークで誕生したのが、本書の主人公、村瀬二郎氏だ。二郎氏は、日系2世として米国で育つが、「大和魂を忘れるな」という父の方針で中学のとき日本に帰国。しかし、旧制芦屋中学在学中に太平洋戦争が始まる。立派な軍国少年へと成長した二郎氏だが、国籍の問題は常に二郎氏を悩ませる。そして戦争が終わり、米国に戻ると、今度は米国陸軍への徴兵が待っていた……。

青春時代に戦争にぶつかり、「二つの祖国」の狭間で悩み、苦しんだ二郎氏は、その後、アメリカで弁護士になるが、こんどは日米貿易摩擦の矢面に立たされる。「戦争前夜」とまでいわれた日米関係の悪化。そのとき、二郎氏は日本のために、摩擦解消に陰に日向に尽力する。

激動の20世紀に「二つの祖国」を生き抜いた男は、「大和魂」と「アメリカンスピリッツ」の狭間で何を考え、どう行動したのか。

「堤清二『最後の肉声』」(「文藝春秋」掲載)で2016年(第47回)大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞した筆者の受賞第一作の大型評伝!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

古本虫がさまよう

1
この本を読もうかなと思ったのは、門田隆将氏&髙橋洋一氏の『日本を覆うドリーマーたちの「自己陶酔」』 (ワック)を読んだからだ。髙橋さんが、世界の首脳の中で、安倍首相が一番最初にトランプに会った背景に、村瀬悟弁護士がいたことを縷々紹介していたから。彼はトランプの顧問弁護士をしていて、成蹊学園で安倍さんと一学年違いだったという。そのコネがあってのことだったという。児玉さんの本は、その父親・二郎氏の評伝。この親にして、この息子ありといった感じであった。2019/02/11

Ohno Takeshi

1
日本人とアメリカ人では様々な考え方が異なる。その二つを祖国とし、その二つを愛し、尊敬し、その二つの素晴らしいところを融合しようとした村瀬次郎さんの生き方は、まさに分断と差別の時代だった。そして、今まさにそうした時代を再び迎えている。人の歴史は繰り返されるというが、蓄積された人の英知はそれを乗り越えていけるのだろうか。20世紀初頭のアメリカと日本の置かれていた状況はまさに現在のそれと酷似している。アメリカと中国は60年台の日米貿易戦争そのものです。私たちは過去からもっと多くのことを学ぶ必要があります。2017/08/29

purupuru555

0
こんなスゴイ人がいたなんて、恥ずかしながらこの本を手にするまで名前も知りませんでした。もっと知れわたって欲しい、いや、知られるべき人だと思います、息子さんも含めて。2019/06/21

鈴木貴博

0
村瀬二郎氏の伝記。米国で生まれ、戦時中の日本で少年時代を過ごし、戦後の米国で弁護士となり、その公平・公正の精神とバランス感覚で活躍し、日米関係史の様々な場面で重要な役割を果たす。特に後半が駆け足気味の記述になっているのが惜しいが、時代を象徴する一人の人物の歩んだ道を興味深く読む。2019/01/22

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