ちくま文庫<br> 消えたい ──虐待された人の生き方から知る心の幸せ

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ちくま文庫
消えたい ──虐待された人の生き方から知る心の幸せ

  • 著者名:高橋和巳【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2017/08発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480434326

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内容説明

精神科医である著者は、虐待された人たちが「死にたい」ではなく「消えたい」という表現で「自殺への欲求」を語ることに気付いた。そこには、前提となる「生きたい」がないのだ。彼らがどのように育ち、生き延びて、どんな苦しみを背負っているのかを、丁寧にたどる。そして、立ち直っていった経緯を明らかにする中で、人間の存在の不思議さと、幸せの意味に迫る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆいまある

96
カリスマ的な魅力の精神科医が書いた本。虐待された人を「異邦人」と表現する。どこにも居場所がないから。トラウマサバイバーだろと思いながら読み、途中から、複雑性PTSDと言ってくれと思った。あなたの欝もパニック障害も、虐待のせいなんですと言えば掴みはオッケーで、患者は時に医者を盲信する。宗教みたいで、信者を選ぶ仕事の仕方。私だって何でもかんでも親のせいにしたい。自分が悪くなかったって思いたい。だって楽だから。でも親も不器用で、どうしようもないことってあるんだよ。著者の考えを押し付けられるようで終始苛ついた。2022/03/23

コージー

50
★★★★★都内で精神科・心療内科を開業されている、精神科医の高橋先生が書かれたエッセイ。虐待された人の生き方から異世界を知るとともに、人の幸せをあらためて見つめ直すという異色の本。虐待を受けて育った人は、人生の辛さから逃れるために「死にたい」とは言わず「消えたい」と言う。彼らの世界を知るとともに、自分とはどういう存在か、そしていまある幸せを感じられる良書です。【印象的な言葉】「死にたい」は、生きたい、生きている、を前提としている。「消えたい」は、生きたい、生きている、と一度も思ったことのない人が使う。2019/02/18

豆ぽち

26
過去の虐待に苦しみ続けてる人には是非読んでみて欲しい。人生が苦しいのは自分が悪いからではない、全ては環境のせいなのだと、焦らないでゆっくりと自信を持って生きたらいいと優しく語られています。「母を、好き嫌いではなく、怖かっただけだと気づく。繋がりが途切れる。」「規範を守るという枠は、辺縁の世界では、それは孤独の恐怖を抑圧し、愛情の期待を持ち続けるために必要な枠だ。同じ枠は、普通の世界では、感情の共有を維持するために必要なものだ。」『生命的存在と社会的存在の二重の存在を楽しむ生き方』2017/05/09

ひよ亭

21
虐待されてきた人たちが大人になって上手く世の中に順応できていない幾つかの例を取り上げ、対応した医師がその心理や回復していく状況を紹介している。単純にその世界には入り込めないが、異邦人と呼ばれるそのような人たちを少しは理解出来たかと思う。2019/07/04

烏山ちとせ

11
精神科医による被虐待者の回復の過程。紹介されるような実存的なフレームの変化や気づきによって内面から解放されることは実際多くないのかもしれないが、自分としては私たちが感じる関係や社会への齟齬もこのような気づきを通して終われるように望める気がした。いずれのケースも丁寧に描かれており、患者と相談を受ける側両方の意味で参考になる。社会的な関係を構築する、生命的な存在を取り戻すのアプローチは時代によっても有効な方向性は異なる気がした。解説は存命中の橋本治先生でその述解はさもありなん、だから気に入ったのだなと思った。2024/05/10

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