内容説明
徘徊癖をもつ90歳の曾祖母が、故郷熊本で足下を指しヤマグチとつぶやく。ボケてるんだろうか。いや、彼女は目指す場所を知っているはずだ! 認知症老人の徘徊をエスコートする奇妙なタクシー会社を立ち上げた恭平と老人たちの、時空を超えたドライブを描く痛快表題作と、熊本震災に翻弄された家族の再生を探る「避難所」など、三編を収める新編集小説集。巻末に養老孟司との特別対談を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
121
この作品は、どう感想を書いていいんだあ!現実と物語がごちゃごちゃになってる感じで、ちょっとわかならくなって、何度か前のページに戻って読みなおしたり、とにかく読みずらい作品でした(^^;)介護関係の温かい物語をイメージあるいは介護関係の新たな事業のお仕事小説をイメージしてたので、イメージと違い余計に読んでて混乱しましたが、まあ、とりあえずはトキヲさんと京子さんのシーンは、優しさに包まれて温かくなれました(^^)他に2篇収録されてます。2017/09/16
やいっち
28
思いもよらぬ物語。まあ、趣向としては面白い……かもしれない。 いわゆるタクシーのプロドライバーを念頭に置いての話ではない、その意味で自分の参考にはならないとしても、認知症の老人は(所謂ボケているんじゃなくて)異次元の世界を自分の意志で何かを目指して動いているんだ、という発想は貴重だし、展開の余地は相当にある。2017/12/20
Tadashi Tanohata
27
ご自身が「双極性障害」と巻末対談で紹介している。タイトルからは想像できない凄くユニークな作品だ。ご自身が本編に登場するので、実体験をベースに書き上げたようだが、「情緒」を感じる、私にとって貴重な一冊となった。「情緒は世界を救う」そしてここに本がある。2018/06/28
tu-ka
19
親が認知症なので共感できる部分もあるにはあるが、ストーリーとしては結局何が言いたいのか、作者の意図がよくわからなかった。2018/05/12
Kazuko Ohta
19
著者は「0円ハウス」の人なので、てっきりノンフィクションだと思い込んでいました。だって主人公は著者の名前そのまま、躁鬱病だというのも著者そのままだし。そうしたら妄想シーンがやたら多いわ『流星ワゴン』みたいな話になるわで、ようやくフィクションだと気づく。認知症の曽祖母を残して逝ってしまった祖父。その祖父の蜜柑色の愛車で徘徊タクシーを始めようとする主人公。周囲からボケ老人の徘徊と思われていても、ボケ老人なりの目的地がちゃんとあるのではという考え方は良いなぁ。そう考える余裕を持って介護に臨めたらいいのだけれど。2017/08/24