講談社選書メチエ<br> 乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか

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講談社選書メチエ
乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか

  • 著者名:内田隆三【著】
  • 価格 ¥2,090(本体¥1,900)
  • 講談社(2017/08発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 570pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062586580

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内容説明

我々の現代性の黎明期、日中戦争の前/日米戦争の後、江戸川乱歩と横溝正史――二人は探偵小説の夢を創造する。個人の日常生活を成立させるリアリズムの場に深い〈穴〉があき、あるいはリアリズムの〈場〉が〈死者〉の声に触れて崩れるとき、人間に関わる真実が独特の顔をして垣間見えることがある。だが、この真実を表象する手段は限られている。乱歩と正史はこの真実を寓喩――殺人とその不可能図形によって描き出す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

61
乱歩と横溝、戦前戦後の探偵小説二大巨頭の評論。作品の構造から社会の流れが二人に与えた影響まで、様々な視点から論じられている。構成的に戦争を間に挟んで、戦前は乱歩、戦後は横溝を中心に論じているが、それだけではなく当時の社会が探偵小説に与えた影響等も具体的に書かれていて興味深い。特に横溝の評論で「家」と作品の関係は論じられていたが、作品中に死者の意思が介在するというのは面白い視点。確かにあの作品もあの作品も、犯行の裏にはそれが横たわっているなあ。あと乱歩と横溝、全作品を読んだ前提で書かれているので注意が必要。2017/09/27

ころこ

40
探偵小説を純文学と同じ地平で論じようという意気込みは買うが、色々と詰め込み過ぎていて、著者の気持ちだけが先走っている印象を受けた。批評の言葉も昔の現代思想風で、今はそれらの言葉は自動化されて、分からないか、鼻につくか、パロディとして読めるかのどれかだ。昔の純文学と昔の探偵小説を並べているのは一段低くみられがちな探偵小説のコンプレックスに過ぎないが、いまや純文学の意義も失われているため全てがノスタルジーであり無意味だ。テマティスムのように情報だけで勝負した方が、新しい文学論として可能性があったのではないか。2024/08/10

そうたそ

25
★★☆☆☆ 相当きめ細やかな分析のされた力作だろう。ただ自分が思うような内容ではなかったという上でこの評価だが。内容は専門性がやや高く、ビギナーお断り感がするのは致し方ない。近代ミステリを彩った乱歩・正史の両著者を好む人なら読んで損はないだろう。じっくりと読み深めるべき内容であっさり読むにはもったいない出来だ。2017/09/15

ともひろ

18
これは難しい本でした。日本の本格探偵小説のパイオニアとなった江戸川乱歩と横溝正史に関する評論。抑圧された戦前と、戦後。すれ違う二人。横溝正史は書きたくて書きたくて戦後を迎えた。昭和20年台に書かれた小説は今なお色褪せることなく、推理小説の金字塔となっている。大学の先生が書いただけあって、非常に難しい本ですが、改めて論点を整理するには良い本でした。2017/10/14

かんがく

15
タイトルよりも乱歩寄り。彼らの書く小説の変遷と、大正から戦後への時代の推移が丁寧に記述されている。『人間椅子』と田山花袋『蒲団』、『芋虫』と三島由紀夫『憂国』の比較など他作家との横断的な分析も多く、面白く読めた。2021/02/04

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