内容説明
中学2年生の水野耕太郎は、唯一の親友だった三輪くんの転校をきっかけに、屋上へ出る階段の踊り場を「別荘」と名づけ、昼休みの時間をひとりで過ごしていた。 夏休みを間近に控えた7月の昼休みのこと。 水野がいつものように別荘で時間を過ごしていると、ザッパーンという大きな音が屋上の方から聞こえてくる。 屋上に出てみると、そこには驚くほど大きな“水たまり”が広がっていた。 そして、その水たまりで、女子生徒がバタフライで泳いでいる――。 混乱し、立ち尽くす水野の目の前に、水たまりから優雅に上がってきたのは、水泳部のエースで学校一の美少女と名高い、隣のクラスの水原だった。 水原は、水たまりに潜る行為のことを“パドル”と呼び、「パドルをしながら強く何かを願うと、世界をひとつだけ変えられる」のだと説明する。 半信半疑ながら、誘われるままに水たまりに飛び込んだ水野は、パドルで実際に世界が変わるのを目の当たりにする。 水原がある一つの“目的”に向かって、パドルを繰り返していることを知る水野。 そしてはからずも、その“目的”のためのパドルが、思いもかけない衝撃の真実を浮かび上がらせ――。 第六回ポプラ社小説新人賞受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaichiro
73
文庫版をNet galleyで読みました^_^最後までねじれの関係にある物語が続き、目が回りそうになりながら、何とか読み終えました^_^学校の屋上に広がる水溜りに入ると過去の事がひとつだけ変えられる、パドル!タイムマシンものは通常過去が変わらないお約束^_^過去が変わり、現実もお構いなしに変わるから、途中で自分がどこにいるのかわからなくなる。それでも物語はクルクルくるくる展開する^_^スタジオジブリでアニメ化したら、大ヒット?クルクルバットしながら、迷路を抜けて来た読後感^_^今晩はグッスリ眠れそう^_^2019/06/04
のんき
49
パドルでなら、変えることができます。きらいな先生を他の学校に行かせるとか、こわいお母さんを優しいお母さんにするとか、好きな人と仲良くなれるとか、なんでもできちゃいます。亡くなった人を生き返らすことも。でも、一つを変えると、他にも変えないとできないこともあります。大きく言えば、歴史を変えることになるから。そんな簡単に変えることができるっていうのも、スゴイけど、使い方によってはなんかこわいなって感じました。2017/08/21
ミーコ
46
新聞の紹介欄か何かで読みたい本に登録してて、偶然にも図書館のオススメコーナーで手にしました。最初は「パドル」?って訳が分からずに読んでましたが 思春期の子供達を描いた青春ファンタジー小説として まずまず面白く読めました。2017/12/07
千穂
40
中2という年齢が、子どもでもなく大人でもなくて。青春モノというより、SF?ファンタジー?パドルにより過去が変えられる?未来も?若い感性だなぁと思いました。水原さんが過去の人になってしまったのは、流れ上仕方ないのかな?最初伝話が誤記かと気になってしまったわ。最後まで読むと納得出来るのだけど。ポプラ社新人賞作品。2018/06/13
はるき
40
ちょっと奇抜な感じがしました。 青春と言うか、文字通りの瑞々しさは清々しくて心地よいのですが。2017/11/09