内容説明
JALの元フライト・エンジニアが、フライト・レコーダやボイス・レコーダを始めとする様々な資料を基に、事故当日のコックピットの様子を徹底的に検証する。果たして、123便に助かる術はなかったのか? 事故の原因と過程を推察しつつ、祈りを込めて描いた「もう一つの結末」とは?『グッドラック』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポルトン
41
筆者の仮説では後部圧力隔壁の破断が直接原因ではなく圧力隔壁に出来た亀裂から漏れ出た客室内の空気がAPU防火壁の金属疲労を招き同壁を破断させたとありますね… 747型から777型にモデルチェンジした時にAPU防火壁を垂直尾翼の後に設計変更しているのは同説を裏付けてるのではないかと… そんな冒頭解説から始まる虚構のストーリー!もしこんなに風に機体を操縦出来ていれば… 4つのエンジンだけでもここまでコントロール出来たのではないか…そんなお話。日航機の事故はここまで研究されて後に活かされていたのですね 2018/05/04
James Hayashi
29
元日航運航技術部次長、「グッドラック」改題のフィクション。JL123便事故を筆者の立ち場で検証。副題に「真実」とあるが、データから読み取った著者の推測にすぎない。事故から30年経ち、同じような作品が何冊も出ているが、この本はミサイル衝突説を完全否定する為に書かれたのではと感じる。不明確な飛行機事故は近年も続いている。機内と機外に複数のカメラを載せ、地上へ同時にデータを送る事など微々たる金額だと思うが。2019/05/20
miwapicco
8
日航機事故のお話は、可能な限り読み漁っている。 数式も多数、(多少読み飛ばしてしまったけれど!)極めて論理的な検証、そして希望のもうひとつの結末、に泣けてしまった、、、 時間が戻せたなら。このとおりに、何もかも上手くいったなら。 犠牲となった方を忘れず、事故を忘れず追悼。2018/04/08
ふたば
2
生還の可能性が無かったわけではないのだろう。ほんの少し状況が違ってくれば、ここに記されたような結末があるいは訪れたのかもしれない。あの日、本当に起きていたことは、やはり、誰にも分らない。地上で、可能な限りの情報をもとに時間をかけて検討したとしても、正しい絵は描けない。後から、何を言っても推測の域を出ないのだとしみじみ理解した。後からなら何でも言える。何も状況がつかめないまま、操縦かんを握りしめていたパイロットたちを、その実らなかった努力を否定しないであげたいと思う。2017/07/18
らいらい
1
タイトルが誤解を生む気はするが小説としておもしろかった。本書は日航機墜落事件に対する事実に基づく検証と虚実を交えた小説で構成されている。一部、フィクションであることを知らずに読んでいたため、あれ日航機墜落事件ってこんな展開だっけ、と戸惑ったが、もしこうであったなら、と思わずにはいられないとても考えさせられる小説になっている。検証部分は専門用語も多く難しいため、読み飛ばすという選択をすることも可能である。2022/09/03