内容説明
2013年7月の一巻目刊行以来、「心から泣いて笑った」「今まで出会った小説でナンバー1です」と読者の大反響を得ている『本所おけら長屋』シリーズ。江戸落語や下町漫才の台本で鍛え抜かれた技をひっさげ、著者は文庫書下ろし時代小説の「オンリー1」に躍り出た。絶妙な会話のテンポと抜群のストーリー運びは、誰にも真似できない独壇場だ。江戸の本所亀沢町にある「おけら長屋」は、貧乏人の吹き溜まり。しかし、江戸っ子ならではのお節介と人情に、お騒がせコンビ万造・松吉の暴走も絡んで笑いが絶えない。第三弾となる本作では、笑って泣ける「落語テイスト」にいよいよ磨きがかかった。大家・徳兵衛の知られざる過去に発し、二組の父娘の複雑な情愛と絆を描いた長講「てておや」をはじめ、読みだしたら止まらない計5篇を収録。30年来の親友・百田尚樹氏を、「もう、たまらん!」とうならせた。佳作ぞろいの第三巻、ご期待あれ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
204
第3巻は、辰次のほろ苦い初恋話『うたかた』、武家の嫡男が噺家に成りたい夢を手助けする鉄斎『こばなれ』、お糸が着物に残された手紙から愛を知る『あいえん』、父親になった久蔵が空回りする『ふろしき』、徳兵衛の知らなかった実娘が訪ねてくる『てておや』…人情が色濃く出た5つの噺は、クスクス笑わせられつつ、時折ホロッとするシーンを挟み込んでくる職人技。『てておや』では逆に、お約束の泣けるシーンに、死にそうなふりをしている徳兵衛にむせる偽薬で苦しませて笑いを誘い、泣き笑いで楽しませるとは巧み!今月中に次巻へ進みたい♬2020/01/14
のり
131
おけら長屋に新な命の誕生に伴い、新米おとっつぁんの久蔵の奮闘や、恋破れたが魚屋の辰次が人として大きく成長したし、大家の徳兵衛が知り合った薬種問屋の宗右衛門の父娘関係を丸く納める筋書きをした万造の手柄だった。八五郎のお惚け行動もさすが堂に入っている。2018/10/16
chiru
130
おけら長屋第三弾★ 期待を上回る面白さで、ものすごく良かった❗ 『あいえん』古着に入っていた手紙の「お鈴探し」をめぐる万松たちの会話と作戦に、思わず笑い転げてしまう! 彼らの大人気ない一面が人間らしくて好き。『てておや』確執のある父娘の間を取り持つ万松。やり方は無茶苦茶だけど、万松の縦横無尽な発想と活躍に大喝采🎵 拗ねたり、得意げになったりする単純さが可愛いな。世の中は悲しいこと、辛いことがたくさんある。だからこそ「お節介」が心に沁みて、この時代っていいなって思う💖 ★52020/05/05
ぶち
128
登場人物たちの役割が少し変わってきたようです。鉄斎のカッコイイ役の一部をあの万松コンビが担うようになってきたのです。その代りの間抜け役は、八五郎。登場人物たちの性格が固まっていない、生きている(成長している)シリーズなんだなぁと思いました。でも、小気味よいリズムの語りは健在です。ますます人情に重みが置かれるようになったお話の内容にしんみり。ときには、涙ぐんだり、あの万造の科白に感動したり....そして、最後の「てておや」の"落ち"も見事にきまりました! 『人の仲をとりもつのは、もうこりごりだ』(^o^) 2020/11/12
nico🐬波待ち中
110
シリーズ第3弾。今回も長屋のみんなの仲の良さにほっこりした。いつも長屋に騒動を持ち込む万造・松吉コンビ。けれど『ふろしき』の万松コンビは見直した。久蔵・お梅夫婦に生まれた亀吉の誕生祝いとして持ってきた味のある平仮名の手紙には、思わずほろり。そして家族のため出世しようと仕事に打ち込む久蔵に向かって「お梅ちゃんと亀吉の側にいてやれ」と優しく諭す万造には感動。万松コンビも成長したな、と感心しきりの回だった。『てておや』のお満。聖庵先生の弟子の彼女が、これから長屋の住人達とどんな感じで絡んでくるのかとても楽しみ。2020/05/21
-
- 洋書電子書籍
- Clinical Dilemmas i…
-
- 電子書籍
- せっかち伯爵と時間どろぼう(6)