内容説明
母性の女神に対する愛の女神を貞操帯から語る「女神の帯について」ほか、乳房コンプレックス、サド=マゾヒズムなど、エロスについての16のエッセイ集。没後30年を機に新装版で再登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
363
タイトル通りにエロスをめぐるエッセイの数々。自由奔放に駆け巡る、いつもながらの澁澤節はここでも健在。ただし、今回登場するのは主にサルトルやバタイユ、フロイトといった面々。プラトンなども顔を見せはするが、書肆的な意味でのペダントリーの楽しみはやや薄いか。もっとも、その代わりに動物学者までが登場し、性が生殖と必ずしも不即不離の関係にはないことなどが語られる。読了してみると、納得することばかりで、このことが逆にもの足りなさを喚起するのであるのかも知れない。贅沢な注文だが、目からウロコの驚きが欲しいところ。2018/12/06
長岡紅蓮
7
澁澤龍彦によるエロスについてのエッセイ。「コンプレックスについて」に出てくるコンプレックスが多彩。知らないコンプレックスばかりだった。「オナンの末裔たち」『月の王』に出てくる器械はまるでアダルトVR。やっと時代が追いついたか?(笑)2020/01/13
sigismund
5
思想、哲学、芸術、さらには生物学に至るまで、幅広い知識を開陳してエロティシズムの本質に迫る一冊。アンドレ・ブルトンの『自由な結合』を解説した『愛の詩について』は澁澤大魔王の筆のノリ具合が大変によろしい。2018/03/15
よいおいこらしょ
3
澁澤節がうなる博覧強記のエッセイ。性や神秘、精神分析について語る裏には、キリスト教上の神聖さや猥雑に隠れた官能の影があった2021/05/01
うる
2
エロスに関するエッセイ集。サド=マゾヒズム、オルガスム、性にまつわる話等16ものテーマで書かれたエッセイが収められている。 エロティック図書館めぐりと称されたエッセイは、特に興味惹かれた。自身が図書館学を学んでいたことがあった為だと考えられる。 また、オカルト話に頻出する植物、マンドラゴラに関してのエッセイはとりわけ興味深かった。 更に知るため同著者の他のエッセイを読もうと思う。2019/08/21