内容説明
岩宿遺跡を発掘した在野の研究家、相澤忠洋。「旧石器の神様」と呼ばれた考古学者、芹沢長介。日本人の根源を辿る考古学界において、歴史を変えたその新発見は激しい学術論争、学閥抗争を巻き起こす。やがて沈殿した人間関係の澱は、日本を震撼させた「神の手」騒動に流れ着き――。微に入り細を穿つ徹底取材が生んだ骨太ノンフィクション。『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
修一朗
76
ワタシもラジオ番組で興味を持ったクチ,2000年のあの事件からもう20年になるのだね。あれによって日本の前期旧石器の研究は崩壊したと言われている。こうして読むと,専門家が新発見を信じたいという環境が整っていたことがわかる。前期旧石器には判断できる比較対照がそもそもなく「層位は形式に優先する!」を受け入れてしまうのだ。ここでは背景となる岩宿遺跡の旧石器時代発見からの長い考古学の流れをメインに追っている。狭い世界で人の確執が学問の流れを作ったという主旨に納得した。まさに日本の前期旧石器研究の崩壊史だった。2019/02/05
リキヨシオ
36
今まで何もない場所でもある研究者が掘れば日本史を変える歴史的発見の連発!「神の手」と呼ばれたカリスマの真実は自ら埋めた石器を自ら発見する自作自演!幼稚園児でもわかりそうな手口にもかかわらず当時の考古界で「神の手」を疑う者はいなかった。何故ありえない「捏造事件」が起きたのか?相澤忠洋と芦沢長介という考古学界に名を残した2人の研究者を中心に日本の考古学界の歴史から迫る。歴史的発見の名誉が学術論争と学閥抗争に繋がり研究者としての目を曇らせた。研究者は自分の仮定や研究に合った結果が出ると疑問なく受け入れてしまう。2017/04/17
fseigojp
23
旧石器時代について、よくわかった 相沢忠洋を模倣した神の手騒ぎ。。。2017/01/29
とし
16
神の手と言われた旧石器捏造事件をノンフィクションの上原善広さんが丹念な取材を基に描いた作品。通常の歴史とは違い、考古学は気軽にアマチュアも参加できました。アマチュアにとって、相澤忠洋という、まさにお手本がいました。捏造を起こした男も相澤さんに憧れていたようです。本捏造事件は日本の石器時代の研究を交代させただけでなく、教科書等も作り直すようになってしまいました。男は事件後、精神に支障をきたし、自分の指を傷つけたようです。上原さんの取材から事件は単なる功名心だけでなく、教授間の派閥争いも絡んでいたようですね。2019/05/29
まると
12
毎日新聞のスクープで大騒動となったあの捏造事件を「入口」に、日本の考古学界の問題を鋭くえぐった骨太のノンフィクション。この本が優れているのは、事件を単に捏造男の属人的な問題として片付けるのではなく、その背景として、アマチュアを利用しながら学閥・門人に分かれて敵方の「発見」には無視を決め込む、学界の異様さを綿密な取材を基に明らかにしている点でしょう。その意味で、タイトルは、単行本の時の「石の虚塔」(山崎豊子の小説を連想させます)の方がしっくりくるようにも思いました。改題はインパクトが強すぎたゆえでしょうか。2020/05/24
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