内容説明
中国語を学ぶ日本人恋人に、自身を揺るがされる在日台湾人女性…第33回すばる文学賞佳作受賞の「好去好来歌」と「来福の家」収録。台湾、中国、そして日本。3つの言語が織りなす初めての快感――。在日台湾人の著者が解き放つ新しい文学!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
90
台湾人だが日本で育った姉妹の話2編。 作者の経験に基づいた話なんでしょう。 文化のはざま、日本で育ったのに、”ガイジン”だという違和感。 他の作品で、子供がバラァを好きというのはレンブの間違いじゃないのかと思ったんですが、これでも、バラァと出てきました。ちなみに、グアバの若い実のことです。私はあんまり美味しいと思わないんだけど・・2021/03/17
そうたそ
27
★★☆☆☆ 著者のデビュー作。台湾生まれ、日本育ちという自身の経歴を活かした作品となっている。これがデビュー作ということもあり、粗は見られる。テーマ自体は面白いんだけれど、とっちらかっている印象は否めず、もっと言えば小説としての面白みには欠ける気もする。最近読んだエッセイの方が同じテーマながら内容としては面白い。エッセイとして振り切れているということ。こちらはやはり小説として昇華しきれていない感じ。テーマを深めるための小説としての可能性をまだまだ追及する余地が残っているかと思う。2017/07/09
komorebi20
25
温又柔さん自身も台湾で生まれて3歳から日本で育ったとの事。この本の2作とも日本語・台湾語・中国語が飛び交う家庭環境や台湾の名前から自分のアイデンティティとは?と常に意識することをテーマにしている。 日本で議論になっている婚姻による改姓が中国では義務付けられてないとの事。日本もそろそろ変わらないといけないですね。2025/04/09
けい子
11
自分はどこの国の生まれで、どこの国の言葉を話すのか…すごく葛藤されていました。読んでいてその事しか頭に入ってきませんでした。我的爸爸是台湾人。駐在前に習った「中国語」を久しぶりに感じられ懐かしかったです。2017/03/22
ハチアカデミー
11
在日台湾人である自分を、他の人とは違う存在であると受け止めていた少女が、恋をすることで、言語を生部ことで、異文化間の交流を体現していく物語。住民票を得ることのむずかしさを描く場面などから、自分が「あたりまえ」のように日本人として生きていることを自覚させられる。どちらの作品にも登場する、3つの言語が入り混じる言葉を使う母の存在が、作品には描かれない台湾/中国/日本の文化の複雑な歴史の記憶を垣間見せる。その記憶を受け継ぎ、時に迷い悩みながらも、軽やかに日々を生きる姿に清々しさを感じさせる2作品を所収。2015/06/24