ちくま学芸文庫<br> 点と線から面へ

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ちくま学芸文庫
点と線から面へ

  • ISBN:9784480097903

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内容説明

芸術にも科学を──。20世紀はじめに“抽象絵画”の概念をいち早く提唱し、絵画作品の新局面を切り開いたカンディンスキーが試みたのは、絵画の構成要素を徹底的に分析し、理論的・科学的に吟味することだった。点や線がもつ本源的な力を把握すること。そうしてこそ、それらが平面の上に置かれたときに相互に共鳴し合い、生きた作品としての“コンポジション”が実現するのだ。絵画にとどまらず、さまざまな造形芸術に大きな影響を与えた古典的名著。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

57
「芸術にも科学を―。20世紀はじめに“抽象絵画”の概念をいち早く提唱し、絵画作品の新局面を切り開いたカンディンスキーが試みたのは、絵画の構成要素を徹底的に分析し、理論的・科学的に吟味することだった」ということで、「点や線がもつ本源的な力を把握すること。そうしてこそ、それらが平面の上に置かれたときに相互に共鳴し合い、生きた作品としての“コンポジション”が実現するのだ」というのだが、正直、吾輩は論旨どころか、論述のどの一文も全く理解できなかった。2024/06/23

nbhd

28
とにかく、つきつめにつきつめている。点とか線とか、ただでさえ掴みにくい「抽象」を剛力で理論立てていく不思議な本、おもしろい。カンディンスキーは抽象絵画の旗手とされる人で、実践の人でもあり、理論の人でもあった。そもそも対象が「抽象」なので、その性質を抜き出すのに「色」や「温度」など、さらに漠とした指標を用いているのが特徴。たとえば、三角形は水平線(青)と斜線(赤)で構成され、総体としては黄色とか(ちなみに、四角形の総体は赤)。90年ほど前の本。ハっ?ってなるけど、それを超えてすごいとしか言いようがない。2017/04/19

Don2

11
'26年にバウハウス教授カンディンスキーが書いた構成学の基礎論文。点・線・面の主要3要素について、それを引き起こす外面的作用(力)と、要素のもつ内面的性質(緊張=運動、方向、色=エネルギーのようなものと理解した)の概念を使って概説する。最初は直線が力を受けて緊張したものが曲線で…と言われてもワケわからなかったのだが、彼の言う点や線が幾何学的なそれではなく、画家の描く作業により作られるものを前提としているのだと気づいた時に合点がいった。2023/01/16

またの名

11
なぜ絵に万人の共感を得られそうにない理論をあてがおうとするのかと思われがちだけど、著者の中には一貫した前提が存在。こうした研究は要素の辞書を作ることだと説明し、さらに先に進めば文法として構築するのも可能と議論。「上とは軽快な弛緩で下とは重みと拘束」といった主観的な印象に見える話は、世界を絵画の視点から説明するための独自の文法体系を、まず先駆的に作り出す試み。しかし絵画による独自の言語の響きを曇らせる余計な物を取り除いて得られるのが、生命の通った内容とその鼓動、と述べる著者は機械的な思考の信奉者ではない。2018/05/06

人工知能

9
芸術にも科学を、ということで興味を持って読んでみた。もともとコンポジションという絵画も好きだし、彼の作品コンポジション8も美しいと感じる。ただ、この書に書かれているのは「論」ではなくてあくまで著者の「意見」だと思う。たとえば水平線はなぜ冷たく、垂直線は暖かいのか。少なくとも、なぜそう「思う」のか。そのような説明がないので、これはあくまでも著者の「感性」を言葉にしたものだという風に受け止めた。点と線という要素に対してどのような考えがあるのかについては知ることができたかなとは思った。2017/06/18

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