内容説明
小規模なテロが頻発するようになった日本。実行犯たちは一様に、冷たい社会に抵抗する《レジスタント》と称していた。テロに走る者、テロリストを追う者……それぞれの心象と日常のドラマを精巧に描いた、第151回直木賞候補作、待望の文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
175
現代日本の格差社会の虚しさ…その上で「小口テロ」という、いかにも起きそうな現象を説得力ある設定で産み出している事も評価できる。10人の視点で語られる「冷たい社会」に暗澹たる気持ちになるし、自分の欠点「想像力の欠如」を指摘され恥ずかしくなった。単に重いだけでなく「真の優しさ」や「生きる意味」を共に考えようと作者が誘ってくるようでもあって、冷めた目線の向こうに強い熱を感じた。貫井さん作品群の中では、イヤミス系『愚行録』と、感動系『壁の男』の中間に位置する作風で、ミステリとしても練られているので、ファンは必読。2017/09/22
遥かなる想い
139
小口テロをめぐる 十人の人生を描いた短編集である。 小口テロを唆す<トベ>の存在と、ネットの世界がひどく不気味。テロに巻き込まれた平凡な人たちの哀しみが心に残る。 テロに至る動機と トベの扇動が弱い気もするが、深刻でないのが 逆に良いのかもしれない。日常に渦巻く出口のない怒りのようなものが ゆったりと伝わる・そんな短編集だった。2021/10/20
あも
102
トラックで人混みに突っ込み無関係な人を道連れに死ぬという"小口テロ"が頻発する日本。ネットを介してワープア層をテロに駆り立てる"トベ"という存在、被害者ら10人の物語が語られる。一つ一つのエピソードに惹き込み読ませる力はさすが。トベの正体への仕掛けもある。が、このテロを実行・煽動する側の薄っぺらさと身勝手さに一切の共感も同情もできないため評価は低め。元カノをテロで失った男性が一番好感度高かった。テロサイドに自分と似たものを少しでも感じる事ができたなら、タイトル含めゾクリとする感覚を得られたのだろう。残念。2019/02/02
アッシュ姉
84
貧困や格差を生み出した思いやりのない冷淡な社会へ抗議するため、個人によるテロが頻発する日本が舞台。無関心イコール社会悪というのは分かるが、どう考えてもテロはよくない。それぞれの思いに同調できる部分もあるものの、納得できない考えが目について私に似た人はいなかった。貫井さんが何を伝えたかったのか受け止めきれず。最終章がモヤモヤを和らげてくれたのが救い。2020/08/31
てつ
78
小口テロをキーワードに、様々な人生が交錯していく連作集。ちらかっつてみえる作品が微妙にリンクしていておもしろかった。私に似た人、という題名は上手くつけたなと思う。書店で相当のスペースで平積みされていたけど、これからどんな感想が読めるのか、そんなことを考えてしまった。面白かった。2017/06/11
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