岩波新書<br> 科学の目科学のこころ

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岩波新書
科学の目科学のこころ

  • 著者名:長谷川眞理子
  • 価格 ¥858(本体¥780)
  • 岩波書店(2017/07発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004306238

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内容説明

膨大な量の科学的知識よりも,むしろ科学の基本にある考え方や意味についての確かな理解こそ,現代社会の私たちにとっては大切なことだろう.根っからの理科系でも文化系でもないと自称する生物学者が,クローン羊の誕生,ムシの子育て,イギリスでの見聞など,多彩な話題をおりまぜながら,科学と人間と社会について考えるエッセイ集.

目次

目  次

 はじめに──「この先はなし」から「さらに先へ」

 Ⅰ 生物の不思議をさぐる

 ムシの妊娠、ムシの子育て

 コンコルドの誤り

 ハンディキャップの原理

 対称性と美的感覚

 抽象化された「生物」は存在するか?

 進化的軍拡競争

 朝三暮四

 ウサギはサルの親戚?

 Ⅱ 科学・人間・社会

 二つの「文化」のあいだの深い溝

 サイエンティフィック・リテラシー

 薬害エイズ問題と科学者の倫理

 生殖技術と「親子」の種類

 ハロー、ドリー!

 人間の多面的理解に向けて

 脳が脳の働きを理解する

 科学者と科学哲学者との対話

 自然史の復活

 誤訳・翻訳・学術用語

 hal、r2‐d2からアンドロイドへ

 Ⅲ 科学史の舞台裏

 巨人の肩の上で

  「エオヒッパス」にまたがる「エオホモ」

 デカルトの誤りとデカルトの慧眼

 フェルメールとレーウェンフック

 恐竜のロマン

 ピルトダウンのいかさま

 ダーウィン紀行

 Ⅳ ケンブリッジのキャンパスから

 地球にはどれだけの人間が住めるか?

 手紙と会話

 ワインとシュニッツェルと国際学会

 ミツバチの労働

 社会的構築としてのアヒル

 日本の大学という職場

 女性研究者はなぜ数が少ないか?

 言語進化の学際的研究

 建築物の自然観

 牧場の地面に降りた虹
  不思議な虹はこうしてできた(寄川弘玄・村松伸二)

 ニュートンのネコ

 おわりに──天使になろうとして野獣になる
   あとがき
   注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ねこ

121
女性生物学者の視点から科学と人間と社会について考えるエッセイ集。虫でありながら胎盤を備えて妊娠出産するオニコフオラ(つめ足類)は驚きでした。外見もミミズにイボイボの足がはえた格好で奇怪。また「理系、文系の間には、非常に深い溝があり、考え方の構築、事実に対する評価、議論の方法など、様々な大きな違いがあり、学問のあり方全体が違う」とあります。なるほど。最後にパスカルの言葉「人間は天使でもなければ野獣でもない。困るのは天使のように振る舞おうと思っている人々が、実は野獣のように振る舞うことである」感慨深い。2023/04/04

sabosashi

9
科学はじつにおもしろいので、小学くらいまではわたしも科学少年であった。  やがて成長するにつれて科学がとっつきにくいものにみえてきた。  それでもごくたまに科学を興味深く語ってくれるひと(または本)に出くわすことがある。  そういうひとは、もしかすると科学の本流にいるわけではないのかもしれないが(この一文は、わたしの意固地なさから派生しているらしい)。 2017/10/18

那由田 忠

8
 『科学』連載のエッセー集。1990年代後半で話が少し古いが、科学的リテラシーや優生学と進歩主義との関連など、大きな問題を考え続ける著者の問題意識が所々にある良書。詳しい説明はあまりないが、テーマごとの基礎的知識を確認するのに適当な文章がたくさんある。例えば、胎生は高等のように思われがちだが、節足動物のようなつめ足類に胎盤を持つものがいる話が冒頭。ニュートンがネコを二匹飼い、研究に没頭して食事をネコに食べさせた。当時の人々には彼の研究成果よりこの行為が奇異に見えたらしい。ペットの発想がなかった時代だった。2013/11/03

山本

6
行動生態学を専攻とする著者が1996年1月から1999年4月まで雑誌『科学』に連載したエッセイに加筆・修正を加えたもの。生物学や科学一般に関する様々な話題、問題に触れられている。そのうち、著者が自身の考え・立場を持っているものに関しては、それがはっきりと述べられている。科学に携わる者は折を見て読み直すと良いかも。2017/06/09

KAZOO

6
岩波書店の科学雑誌に連載されていた科学関係の随筆のような小論を集めたもの。同じものでロゲルリストという集団が書いた「物理の散歩道」が専門的すぎて読むのに苦労しますが、これはもう少しやさしく書いてありすんなり読めます。また一般の人に興味が持つように書かれています。2013/02/06

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