内容説明
生物はあたかも「膜」のようである。内と外との境界で閉じつつ開きながら、必要なものを摂取し、不要なものを拒み排除している。恒常性(ホメオスタシス)とは、そうして生命を維持させていくシステムのこと。身体のあらゆる箇所で機能している緻密で考え抜かれた生命の本質を、日本を代表する細胞生物学者が平易な言葉で説く。 ※新潮選書に掲載の写真・図版の一部は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
獺祭魚の食客@鯨鯢
15
「浸透膜」という言葉を理科の時間に習った記憶があります。密度の違う水溶液が同じ密度になろうとして膜を透過することですが、生命体も絶えず外界の無秩序=死から透過されそうな危機を孕みながら「エントロピーの増大」に負けないように懸命に生きています。書名「生命」は生+命という表現になっていますが、これは単に日々を過ごすのではなく、より良く生きていくことの大切さを訴えようとしているのではないかと思います。本書は科学の本でありながら、亡き妻河野裕子さんが生きていた時のことへのオマージュのような気がしてなりません。2018/03/03
ATS
10
★☆☆ちょっと難しい。面白そうなところを斜め読み。人体のホメオスタシスは神秘的だなと思った。2017/04/19
海星梨
9
KUキープ。「なんか生物哲学なのか?」と放置してたんですが、生物細胞学の一般向けな内容でした。先生との相性ってあるよなー、この方のは専門用語はたくさん出てくるけど分かりやすかった。大学時代、コロナで資料のやり取りだけになった神経生理学がまったくワケワカメだったことを思い出しつつ。細胞たちが物や情報の受け渡しをどうやっているか、それが少しでも狂えば病気として表出してしまうほどの精密な仕組みが面白かったです。2022/10/23
かんがく
8
たまには全くの専門外の本を。専門用語が多数出てきて生命のシステムを説明する部分はほぼ目が流れてしまったが、タイトルにある「生命の内と外」という概念についての話は面白く読んだ。生命の定義は外から区切られていることであるが、外から栄養などを吸収せねば生命は維持できない。その、閉じつつ開くという難問に生命がどのように対応しているかという話である。最後の免疫の章における、自己と非自己の話はコロナ禍において重要な考え。2020/09/17
coldsurgeon
4
亡き妻を想って綴ったエッセイで知った著者だが、生命の本質的な営みに関して書いたこの書は読みやすい。生命は、細胞膜を介した外部と内部の相互作用ということであり、外部の変化に自らを開きつつ、内部の統一性・恒常性を維持することであろう。閉じつつ開くという本質的に困難なことを生命がどのように克服しようとしているのか、それを論じた書は稀だからこそ、この書の面白さがある。2017/06/09
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