内容説明
太平洋戦争の敗戦から70年、あの戦争とは何だったのか。戦争にまつわる物語は、戦場の兵士たちにだけあったわけではない。花街の名物女将が語った軍人の素顔やシベリア抑留者たちの厳しい現実、日本の裏側、ブラジルの移民の太平洋戦争、日中戦争について書いた小学生の作文など、動乱の時代を生きた市井の人々の体験談から日本人にとっての戦争の真実を明らかにしていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CTC
4
月刊文藝春秋が戦後70年に際して編んだ。全4巻で刊行された『太平洋戦争の肉声』シリーズの外伝的位置付けで、奇談美談を集めたもの。巻頭には「正史には残りにくい人々の営為を」とあるだけに玉石混交ながら読み応えがある。①加藤九祚によるシベリア収容所脱走兵の哀話。とてつもない結末は必読だ②金丸銀三氏による陸軍教化隊描写。同隊は不良兵士を更生させるもので、当時全軍で40名のみ収容の施設。氏は同隊70余年の歴史で7人目(苦笑)の原隊復帰者だったと。知られざる組織の様子と、氏の軽妙な文章に本書の価値がある。2015/08/25