内容説明
仏教も神道も受け入れながらなぜか「無宗教」と感じてしまう いったい日本人は何を信じてきたのか? 宗教を理解するためにも信仰のあり方を見つめ直す 日本人の宗教観を解き明かす
日本人の多くが自らを「無宗教」だと考えているにもかかわらず、「墓参り」や「初詣」を始めと する宗教行動が盛んなのはなぜか?
人気宗教学者が日本人の「信仰のあり方」を、歴史的な側面を踏まえながら多角的に考察する。日本人の宗教観がよくわかる本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
30
日本人は信仰ではなく信心に重きを置く。解る気がするな。日本人は無宗教なわけではない。八百万の神々の息吹や足音を聴き、神仏混淆も違和感なく(当時生きていないので実際は知らんが)受け入れた僕たちはきっとそもそもスピリチュアル的なモノを受け入れやすい考え方をしているのだと思う。天を畏れ地を敬い森羅万象全てに神の姿を見出してきたのなら、他所で大切にされている神さまのことも「よく知らんが尊いものなんじゃのう」くらいの感覚で受け入れやすいのだろう。こうして軽薄に(良い意味で)ありがたく手を合わせる感覚は大切にしたい。2019/03/26
紅咲文庫
17
解は問いの立て方で大きく変わる、ほんとに。お正月は初詣、お盆はお墓参り、故人の供養、各地域に残る信仰などこれだけ信心ぶかい行動を取る日本人の多くが、なぜ自分を“無宗教“であると定義するのか。それは“宗教“をキリスト教に代表される一神教として考えているから。神道と仏教を共存させて大切に考える自分達は一神教のような唯一無二の神を持たないと考えるから。って面白い。その証拠に、墓参りや初詣をするかという問いを加えたアンケートだと、自分は無宗教であるという回答がぐっと減るんだそうだ。2023/02/26
makio37
9
信仰を得たという自覚がなく、怪しげな新興宗教の信者ではないことを示すため自らを「無宗教」と表現する。一方で墓参りや初詣を欠かさない現代の日本人は、意外なほど宗教活動に熱心だと著者は主張する。女性の信仰率が年齢とともに徐々に上がるのに対して、男性の場合は50歳を境に急激に上昇するというのは興味深い。定年を意識するからだろうとあるが、確かに自分の父親もその辺りから毎日般若心経を唱えるようになった。教えも教典も救いも「ない宗教」である神道についても、もっと積極的に評価して良いと確かに思う。2018/05/27
kenitirokikuti
8
図書館にて。社会学的な意識調査を行うと、私は無宗教って答えが多いのだけど、人類学的に観察すると墓参や初詣などどう考えても宗教的行動を行なっていたりなど。また地域や季節の祭りや旅行などに超熱心であり…。信仰よりも信心や信頼を、場合によっては自分の命よりも重んじたり。礼拝行為については、場所と具体的な対象を求める。2021/11/23
はな
8
基礎的な宗教の説明が多く、少し退屈な箇所もあったが、頭がすっきり整理された。 「日本人の宗教観は、無我を強調し、我を捨てることが重視される。 西欧の社会においては、自我の確立が重視される。 日本は時間を守るなど、慣習が成立し、いったんそれが定着すると、誰もが破ることを許されない戒律になっていく。 日本は宗教の代わりに学校における集団での訓練によって道徳を教える。」 現代日本人の悩みって、空気を読まないといけない。っていう無我が良しとされる価値観と、自我の確立という価値観の葛藤で生まれるんじゃないかと思う。2019/07/07




