内容説明
メキシコのタラウマラ族と出会い、ペヨトルの儀式に参加したアルトーがその衝撃を刻印したテクスト群を集成、「器官なき身体」への覚醒をよびさまし、世界への新たな闘いを告げる奇跡的な名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
22
連れ合いが借りてきたのを先読み。へえ!こんな怪しげな詩人さんいたんですねえ、と言ったら「すごく有名な人だよ!」と憤慨されました。へいへいすんませんねえ。しかし文学界のポール・ゴーギャンというかなんというか・・・自分探しのやりすぎで精神病院に入れられちゃったヒッピーの魁というか・・・という私の感想に連れ合いキレ気味でした。ちなみにこの詩人の骨格と思いつめた目つきが彼そっくり。骨相学って当たらずとも遠からず。2017/09/15
∃.狂茶党
15
メキシコの先住民の儀礼に参加しておいて、アルトーの体験は、キリスト教をめぐって語られる。 欧米の文献を読んでいて、文法の違いによる強調のずれとかとともに気になるのが、至る所に顔を出す、キリスト教という前提だ。 実際アルトーはキリスト教の神、神との関係に、生涯関心を示していたように思う。 反キリストや、棄教は、キリストを信じる者にだけ可能なことだ。 布教は行われたに違いない。 が、祖先から受け継いだ儀礼で、キリスト教ばかり見てしまうアルトーは、やっぱちょっとおかしいのではないか。 2023/08/25
どらがあんこ
10
円環と越えられるものとしての十字架のイメージが印象的であった。破裂音のようなテクストである。2019/01/05
嫁宮 悠
4
メキシコのインディアン・タラウマラ族をめぐるテクスト群。詩人ならではの感性と、タラウマラの神秘的な信仰がモザイクを形成し、「神」とも「一原理」ともつかぬ一つの表象が浮かび上がる。どこまでが素で、どこまでが演技かわからない点は、やはり演劇人。 自己演出と狂気が入り混じった、独特の味わいをもつが、基本的に難解かつ混沌としている。ジャン・ポーランへ宛てられた、掲載催促の書簡が偏執狂的で面白い。2017/06/26
イタロー
3
アルトーがメキシコで秘儀を体験する。ドゥル―ズ=ガタリによる彼の文章の引用がよかったので手元にあったのを読。『アンチ・オイディプス』がアルトーの思考の強い影響下にあることを確認。濃密な描写が圧倒。2022/05/25