内容説明
▼効率化し分断され、常に自己革新を迫られる高度資本主義社会。一人一人の人間が生きていくために必要な「批判的想像力」を養うための入門書。
▼ヘイトスピーチや障がい者への犯罪はなぜなくならないのか? マイノリティや社会的弱者の排除に対して、差異を持った人々が共に生きることを可能にする社会への想像力をつくりだす試み。
▼グローバル社会をリアルに考えるために、これまで見えなかった複雑に入り組んだ背景を可視化し「再フレーム化」(=再想像)することの実践へと導く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
27
社会学の大学のテキストを意識して作られた本だと思います。高度に発達した資本主義社会のなかで、新自由主義が跋扈し、分断と対立が起きている中で、私たちがどのような社会的視点を持つことが大切なのかを学べたように思います。グローナリズムが進行する一方でナショナリズムも深まっています。そうした中で他者との違いを認めつつ対話していく力をつけていくことが大切なのだと思いました。また対話的であることは「中立」という立場に身をおくことは違うことだというのは、対案を示せとする安倍政治手法を批判的に考える上で重要と思いました。2017/05/12
ぽん教授(非実在系)
1
BLMの暴走などを見た後なので、本書のリベラル的立場の限界や問題も大いに感じるが、それはそれで使える要素も結構あるといったところ。2021/03/20
バビレマ黄色い手
0
現代社会における分断をメタファーによって捉え、批判的な想像力を養うための対話が必要であることを説く。権利保障と国益推進を可能にする論理としての公定多文化主義がネオリベラルなものへ変容する中で、いかに多様性と統一の「バランスをとる」か。その問いかけに潜む主体の権力性にハッとさせられる。そして、実は私自身がこのマジョリティ国民であり、新自由主義に歓迎されるミドルクラス「旅行者」であり、対話に応じるつもりがない原理主義者たりうることを自覚させられた。共存や対話の意味、社会学の意義を考える1つのきっかけになった。2018/01/01
ア
0
グローバリズムと新自由主義により、社会の分断や自己責任論が広がるなかで、想像力と対話の重要性を論じる本。現代社会学のキーワード集、ブックリストとしても有用。2019/08/31