文春e-book<br> 東芝 原子力敗戦

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文春e-book
東芝 原子力敗戦

  • 著者名:大西康之
  • 価格 ¥1,324(本体¥1,204)
  • 文藝春秋(2017/06発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163906744

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内容説明

身も心も会社にささげる「サラリーマン全体主義」が企業を滅ぼす。

「東芝原子力事業の暴走と、それを糊塗するためにほぼ全事業部で行われた粉飾には、何千人もの東芝社員が関わった。(中略)まさに「滅私奉公」「全社一丸」だ。
そのやり方では、もはやグローバル競争に勝てないことを、我々は知っている」(エピローグより)

社内で経営陣が交わした粉飾メールをはじめ、数々の内部資料をもとに東芝を追及してきたジャーナリストによる決定版。

●目次●
第1章 原子力ルネサンス
「テレビやスマホの代わりに原発を輸出すればいい」という経産省の思惑。それに乗った東芝・西田厚聰社長には経団連会長への野心があった。
第2章 東日本大震災
次々と水素爆発を起こす福島第一原発。メーカーとして最大の危機を迎えてなお「原発輸出」にまい進する佐々木則夫社長を支えた一人の男。
第3章 粉飾決算(2013年~2014年)
買収した米原発機器大手・ウエスチングハウスの減損を隠すため、巨額の粉飾に走る幹部。社内を飛び交うメールからは粉飾指南役の陰も。
第4章 破滅への道程(2015年~2017年)
第二の減損発覚で追い詰められた東芝。優良事業の売却を繰り返し、残るのは原発事業のみ。倒産の危機に。
第5章 原発ビジネスの終焉(1956年~2017年)
「国策」への協力を決断したかつての東芝社長、土光敏夫と現経営陣の違いは何か。
第6章 東芝が消える日(2017年~)
原子力業界には東電を頂点とするヒエラルキーがあり、東電は「東電の正妻」と言われていた。東芝の命運を握る東京電力で、いま何が起こっているのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キク

64
日本を代表する企業だった東芝は今、本社を安く買い叩かれ移転先も未定だ。家電も医療機器も映像も半導体メモリも売ってしまった。ただ、原子力事業だけが残り、福島の後始末をする会社になっている。本体を未売しようとしても、もの言う株主達が現状の株価での売却を承認しない。自らの行く末すら、自分では決められない会社になってしまった。その要因はなんだったのか?「東電の正妻」や「経産省の子会社」と言われるほど原子力に入れ込み、その政治力で東芝から経団連会長を誕生させるためだった。これが嫌味や冗談じゃないって、なんなら喜劇だ2023/03/03

TATA

45
足元まだ収束しているとは言い難い東芝の凋落ぶりを書き記した一冊。私もサラリーマンなのでねというのはあるが、かなり筆者の書き方がキツい。記者の方なので勧善懲悪のストーリー仕立てで書きたがるのは仕方ないけど、東芝のやることなすことすべて悪し様に解釈している。そう考えれば経営者というのも難儀な役割だ。原子力産業への先見の明がなかったことは認めるが、あまりに不幸な出来事と怠慢、能力不足が重なったのだと。まったく、出世の延長で経営者なんかなるものじゃない。もうそんな時代じゃないということ。2018/06/05

糜竺(びじく)

24
トップが無能。「会社のため」という名目で良心を押し殺した社員も結局同罪。だけど、東芝のようなことは、普通にあるんじゃないかな。2021/04/28

すくすく

22
東芝が粉飾決算に手を染めていく経緯を当時のメールなども併せて当時の社内の状況を詳細に浮かび上がらせている。詳細は割愛するが、監査法人対策への幹部向けお伺いメールやパワハラめいた「チャレンジ」には吐き気すら催す。会社のため、昇進のため全てを捧げ思考停止する社長以下社員たち。それは、事象の大小はあれど自社においても起きている事柄であり、著者の言う「サラリーマン全体主義」が今でもしぶとく生きている実感があるためだろう。並行して読んでいる日立のことは対比にはならない、同じことが起きていてもおかしくない。2023/03/11

coolflat

22
東芝崩壊をもたらした最大の要因は何か。06年に約6600億円を投じて買収したウェスティングハウスを核とする原発事業の不振である。原発事業の不振を覆い隠すために、東芝は総出で粉飾決算を行った。なぜ東芝は粉飾決算を行わなければならなかったのか。それは原発事業を継続するためだ。即ち、原発輸出という国策である。その国策を進めた二人の人物がいる。田窪昭寛(東芝原子力事業部)と今井尚哉(経産省、現首相秘書官)。東芝を崩壊に導いた主犯である。名門企業東芝を吹き飛ばしたのは、二人の主犯が進める原発輸出という国策であった。2018/01/06

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